新型コロナが“あの”外食チェーンを直撃 一方で松屋、スシロー、鳥貴族が順調なワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(6/6 ページ)
新型コロナウイルスの感染が広がる。外食チェーンへの影響はどうなっているのか。各社の最新動向を探った。
バイキングも苦戦
感染のリスクが高いと政府から名指しされているバイキングは、対策に躍起である。焼き肉と寿司食べ放題の江戸一が展開する「すたみな太郎」と系列店は、3月5日から12日まで、営業を自粛している。
サラダバーのサービスを行ってきたゼンショーのステーキ&ハンバーグチェーン「ビッグボーイ」では、サラダバーを一時休止して、150円でボリューム感あるセットサラダを付けられる形式に変更した。
「ミスタードーナツ」では、顧客がドーナツをセルフで取るカフェテリア形式の店舗において、ショーケースに並ぶドーナツをビニールシートで覆う取り組みを始めた。
外食各社は新型コロナの影響を受けて、「うがい・手洗いのさらなる徹底」「マスク着用」「小まめな用具の消毒」など、できるところからさまざまな対策を打っている。
銀座中央通りにあるビアホール「銀座ライオン」銀座7丁目店が3月3日から15日まで、浅草ROX「一風堂」が3月4日から15日まで、それぞれ短縮営業を行うなど、営業時間の変更を行う店が増えている。
すき家チェーンでは、政府の一斉休校の要請を受けて、アルバイトの集まり具合に影響が出るため、一部の店で営業時間の短縮をするだけでなく、メニューを牛丼のみに絞るなどの措置を行っている。
回転寿司チェーンのはま寿司とかっぱ寿司では、感染リスクのさらなる低減のため、注文をタッチパネルに限定し、注文品のみが回転レーンを回って顧客に届けられる方式に変更。
スターバックスコーヒージャパンでは、マグカップ、タンブラー、ステンレスのナイフとフォークの使用を休止。使い捨ての紙カップとプラスチック製のナイフとフォークでの提供に順次変更している。
銀座のスペイン料理店「アリフェス」では、ランチのビュッフェを休止。テーブルの間を3メートル離すなど、濃厚接触を回避する取り組みを行っている。
新型コロナのこれ以上の感染を防ぐため、安倍晋三首相は、小学校、中学校、高校の一斉休校を要請。3月5日から31日まで、中国(香港、マカオを含む)と韓国からの渡航者を14日間待機させる入国制限を行っている。日本国民は自宅付近にとどまる傾向が強まり、インバウンドは激減している。
3月の外食を取り巻く環境は、2月よりさらに厳しい。さまざまな施策を行った飲食店と、行わなかった飲食店で、どのような差が出るのか。新型コロナに収束の目途が立つのか。外食にとって試練の時となった。
【お詫びと訂正:2020年3月10日午前5時の初出において、かっぱ寿司の既存店売上高(前年同月比)を2月「103.7%」、1月「100.3%」とそれぞれ記載しておりましたが、誤りでした。正しくは2月「108.0%」、1月「104.8%」でした。お詫びして訂正いたします。】
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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