テレワークが普及すると、通勤ラッシュはどう変わるのか?(3/4 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、在宅勤務や時差出勤を命じる企業が増えてきた。都内の鉄道も混雑率が緩和しているようだが、テレワークが普及すると、通勤ラッシュはどうなるのか。
テレワーク普及後の通勤電車はどうなるか
鉄道事業者は、通勤時間帯の利用者に対してそれに見合った列車本数を供給しなければならない。そのために多くの鉄道会社は、本数を増やし、編成両数を増やし、路線によっては複々線化してきた。その動きはいまも続き、沿線人口が増え続けるつくばエクスプレスでは、ラッシュ時の本数増加に取り組み、8両編成化にも着手した。
京王電鉄では通勤ピーク時に特急を運行せずにゆっくりと列車を走らせ、JR東日本中央線も中央特快を走らせていない。一方近年、通勤時間帯の特急やライナー列車に力を入れる事業者も現れてきた。特に西武鉄道は、「Laview」の導入にあたって通勤利用を意識し、快適さをウリにした。京王電鉄も、朝のピーク時をずらした時間帯に、都心へ向かう「京王ライナー」を運行している。
今後、テレワークが進み、通勤時間帯のダイヤに余裕が出てくると、通勤ピーク時に特急やライナー列車が運行されることになるのではないか。また京王電鉄やJR東日本中央線に見られるような、低速度での運転も本数削減による速達化が可能になるため、なくなっていくことが考えられる。朝時間帯の特急や中央特快などの運行も可能になるのではないか。
実のところ、通勤電車の混雑対策は、お金がかかる割に利益にならない構造になっている。定期券は割引価格となっており、通学定期券はもっと割引率が高い。割引で利用する多くの乗客のために、高い費用をかけて対策をしているのだ。
乗客は割引で利用するので、通勤客一人当たりの利益はそれほど大きなものではない。もともと鉄道事業は「薄利多売」なところはあるが、通勤時間の輸送はその傾向がさらに大きなものになるのだ。
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