コロナ問題で気になる「鉄道の換気」の秘密 今こそ観光列車に乗りたいワケ:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(4/6 ページ)
鉄道事業者の新型コロナウイルス対策は「通勤電車での感染予防」と「減便」の2つ。通勤電車の換気のための「窓開け」にも歴史がある。一方、通勤電車とは違って、特急列車を運休するのは乗客の減少に対応するためで、集団感染の危険が高いからではない。
鉄道事業者の感染予防への取り組み
「手を伸ばして届くほどの距離で会話、発声」は誰でも避けられる。通勤電車で会話する人は少ないし、マスクをするなどして自衛できる。「オマエ、マスクしてないのに咳をしただろ」などと口げんかをすれば、まさに会話、発声だから愚の骨頂である。
ほとんどの鉄道事業者の公式サイトや駅で「職員がマスクを着用しています」と理解を求める掲示がある。これは飲食店と同様の理由で、会話による飛沫感染を防ぐと同時に「マスクをして接客するとは失礼」というマナーに対する説明でもある。もっとも、マスクに対するマナーは今回の騒動でかなり変わった。
さらに、公式サイトで車内の換気などを説明する鉄道事業者も増えてきた。例えば、札幌市営地下鉄は「5日から6日に1度、手すりや吊り手、保護棒について、エタノール系薬剤でふき取りを行う」「車両の窓の一部を常時3センチ開ける」と表記。併せて「通常より温度低下に配慮した暖房に努める」とある。風通しを良くして、暖房を強めるという。
近畿日本鉄道は3月9日と11日に「新型コロナウイルスに感染されたお客さまの当社鉄道のご利用への対応について」という報道資料を公開している。3月9日は京都市の発表を受けて、3月4日と5日に感染者が利用した駅と車両を特定して消毒を実施した。3月11日は奈良県の発表を受けて「3月4日に奈良線大阪難波駅〜学園前駅間を利用した」と特定し、駅と車両の消毒を実施している。とても真摯な姿勢が伝わってくる。
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