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「職人が現場で宴会」「甘すぎる見積もり」 潰れそうだった建設会社をITで立て直した社長の紆余曲折利益率向上と働き方改革を実現(4/6 ページ)

経営危機に陥った父親の建設会社を継いで立て直した社長がいる。業務改革にITを活用して、働き方改革や利益率向上も実現。業界の課題を解決するため、新会社を設立して自社のシステムを販売している。

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業務が混乱する根本原因

 毛利社長がIT化を進めるに当たってどのようなことを考えていたのか。

 建設業界はゼネコン、サブコン……と多重下請け構造になっている。ホーセックの場合、サブコンから受注する仕事が8割近くを占めていた。サブコンごとに見積もりや請求の方法が異なり、業務フローが煩雑になりがちだった。入金の漏れなども発生するため、得意先や仕入れ先を一元管理できる仕組みが求められていた。


受注した仕事の利益率が下がってしまう要因(提供:ホーセック)

 利益率が低いのも課題だった。ホーセックのような専門業者の中には、特定のサブコンに依存しているところもあり「この案件を逃すと他にあてがない……」と判断しがちだ。そのため、サブコンからの「仕様変更」「工程追加」といった無理な要求にも従わざるを得ない。毛利社長は「京都にある会社がサブコンに頼まれて広島の現場に行くこともあります。そうなると、10%程度経費が増えてしまうこともあります。同じような仕事を請け負うなら、近場のほうがいいですよね」と指摘する。


管理業務の効率化で利益率がなぜ向上するのか(提供:ホーセック)

 こういったことが起きる根本的な原因の1つは、個別案件の情報がオープンになっていないことだ。例えば、あるゼネコンがA、B、Cという3社のサブコンに業務を発注したとする。3社は、それぞれ付き合いのある専門業者に見積もり依頼を出す。A社と付き合いのある専門業者は、B社とC社の状況は全く分からない。もし、専門業者同士で情報共有ができれば、自分が得意とする仕事や、より利益率の高い仕事を選別することが可能となる。

 さらに、受注する仕事を選別することも必要だ。自社が強みを持つ分野を発注側に理解してもらい、適正な価格で受注する。そのためには、1案件ごとの原価や人件費などを“見える化”する必要もある。

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