飲食店でタバコを吸えなくなっても、“開き直りおじさん”が増える理由:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
4月、改正健康増進法が全面施行される。これによって、飲食店などでも原則禁煙になるわけだが、筆者の窪田氏はちょっと気になることがあるという。愛煙家を追い込むことによって、「開き直り喫煙おじさん」が増えるというのだ。どういう意味かというと……。
「開き直り喫煙」に走る恐れ
こうした風潮に加えて、喫煙者の「開き直り」に拍車をかけるのが、今回の改正健康増進法である。分煙設備のない小さな飲食店などでたばこが吸えなくなるので、多くの喫煙者が、「吸う場所を奪われた」と被害者意識をさらに強めてしまうことで、店の前の路上や喫煙禁止の場所での「開き直り喫煙」に走る恐れがあるのだ。
何を根拠にと怒る愛煙家の方もいらっしゃるだろうが、日本社会を見渡してみると、「これまで吸えたところで吸えなくなると喫煙者が開き直り喫煙に走ってポイ捨てがひどくなる」といった事例は山ほどあるのだ。
その最も有名な例が、渋谷ハチ公前だ。
16年11月、東京・JR渋谷駅前のハチ公付近にあった2つの喫煙所のうちの1つが撤去された。すると、どうなったかというと、喫煙所以外の場所でスパスパやって、そのままポイ捨てする喫煙者が急増したのである。当時、筆者も自分の目で確かめようと現地に行ってみたところ、植木などにも大量のたばこが捨てられていて、ひどい惨状だった。
では、なぜこんなことになってしまったのか。当時は、「渋谷の若者のマナーが悪い」などと叩く人もたくさんいたが、これは精神論で片付けられる話ではなく、単純に「喫煙者に対して急に吸える場所を奪ってしまった」ことによって生じたシステムエラーである。
なぜそんなことが言えるのかというと、同じように喫煙所を撤去したJR新宿駅の東南口駅前広場ではここまでひどいことになっていないからだ。ここもハチ公前と同じく待ち合わせスポットで、たばこをプカプカ吸う人がいたが、撤去されてからそこで吸う人は激減した。20メートルほど離れた場所にきれいで広い空間の喫煙所が新設されたからだ。
ここまで言えば、筆者がなにを言わんとしているかお分かりだろう。今回の屋内喫煙規制というのは、渋谷ハチ公前と同じような事態を招く恐れがあるということだ。
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