飲食店でタバコを吸えなくなっても、“開き直りおじさん”が増える理由:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
4月、改正健康増進法が全面施行される。これによって、飲食店などでも原則禁煙になるわけだが、筆者の窪田氏はちょっと気になることがあるという。愛煙家を追い込むことによって、「開き直り喫煙おじさん」が増えるというのだ。どういう意味かというと……。
「開き直り喫煙」に走る喫煙者
ご存じのように、日本は欧米など諸外国とまったく逆の流れで、まず「路上喫煙」から禁止をしてしまった。そのため、喫茶店やレストランが愛煙家の心のオアシスとして定着したわけだが、この規制でそのオアシスまで奪われた。外もダメ、店もダメと八方塞がりになっている。愛煙家の方たちや喫煙推進派の方たちとこの規制強化についてお話をすると、みな口をそろえて「どこで吸えばいいんだ」と不満をこぼしている。社会の中で高まる嫌煙のムードの中で逃げる場所さえも与えられていない状態なのだ。
もちろん、このような不満を抱えながらも「しょうがない」と諦めて、指定された喫煙スポットでしか吸わないというマナーの良い喫煙者もたくさんいる。しかし、中には「喫煙所がないならここで吸うしかねえだろ!」と道端でスパスパやって吸殻をポイ捨てするという「開き直り喫煙」に走る喫煙者もかなり出てくるはずだ。
なぜそんなことが言えるのかというと、先日のトイレットペーパーパニックもまったく同じ構造だからだ。トイレットペーパーが切れるというデマが流れて、テレビで空の商品棚や大行列の映像が流れた。そんな不安をあおるようなムードの中でも、「ウチにはまだあるから大丈夫だ」「本当に必要な人が買えないと困るので買いに行くのはやめようと」と理性的な行動ができた人たちもたくさんいた。しかし、一方で、デマだと重々承知しながらも、抱えきれないほどのトイレットペーパーを買ってしまった方もたくさんいる。
経済分野のエラい先生たちによると、これはゲーム理論なのでしょうがないことらしいが、とどのつまりは「開き直り購入」だ。「なくなったら困る」「自分のためじゃなくて昼間に働いている家族や友人に分けてあげるためだ」とそれっぽい理由で迷惑行為を正当化しているが、要するに「自分」の安全を脅かされたくないので、アカの他人のことなんかかまってられないというわけである。
「自分のライフスタイル」「自分の心の平静」という「自分」を守るためなら、周囲の人々の健康がどうなろうとも、なにを言われようとも関係ない、という喫煙者のロジックと根っこの部分は全く変わらないのだ。
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