飲食店でタバコを吸えなくなっても、“開き直りおじさん”が増える理由:スピン経済の歩き方(5/6 ページ)
4月、改正健康増進法が全面施行される。これによって、飲食店などでも原則禁煙になるわけだが、筆者の窪田氏はちょっと気になることがあるという。愛煙家を追い込むことによって、「開き直り喫煙おじさん」が増えるというのだ。どういう意味かというと……。
「逆効果」になる可能性
私事で恐縮だが、同じマンションにベランダで喫煙しては、ポイと隣のマンションや一階に吸殻を捨てるおじさんがいる。もう何年も前から続けていて、エレベーター前にはずっと「ベランダからのたばこのポイ捨ては火事の危険もあるのでおやめください」とビラが貼っているのにやり続けている。
と聞くと、なにやら反社会的なオラオラ系の人かと思うかもしれないが、いたってマジメそうなサラリーマンで、廊下で会ったときもちゃんとあいさつをするような常識人なのだ。
先日もポイ捨てしている現場を偶然目撃したが、その顔はまったく悪びれた様子はなく指で吸殻をはじき、隣のマンションの敷地へとキレイな放物線を描いてた。
みんながトイレットペーパーを競って買い求めるのなら、こっちだって買い占めなくちゃダメだろと開き直る人が世の中にたくさんいるように、たばこを吸ってそこに灰皿がないならそのへんにポイっとするのは当然じゃんと開き直る人も世の中にはたくさんいるのだ。もちろん、すべての喫煙者がこうだなどと言いたいわけではない。だが、街を歩けば山ほどマナーの悪い喫煙者に出会うように、周囲のことなど気にしない、「自分のライフスタイル」「自分の心の平静」で頭がいっぱいの喫煙者が多いのも事実だ。
このように「自分」の快適さを優先し、それが当たり前だと開き直る人たちに、「望まない受動喫煙の害を防ぐために店内で吸うのはやめてください」「新型コロナで重症化のリスクが高いですよ」なんて話に耳を傾けるだろうか。
筆者は、馬の耳に念仏だと思う。というより、「逆効果」になる可能性のほうが高い。
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