急上昇で話題の恐怖指数、VIXとはなにか?(3/3 ページ)
「恐怖指数」とも呼ばれるVIX指数が、米国時間3月16日に82.6を付けた。これは、リーマンショック時に匹敵する高さであり、投資家が現在の市場を強く不安視していることを表している。昨今、よく聞くようになったVIX指数だが、これはいったいどのようなもので、どんな特徴があるのだろうか。
VIX指数の取引
ここからは上級者向けの話になる。
このように注目されるVIXだが、日経平均やS&P500株価指数とは違い、VIX指数自体への投資は行えない。実際に取引されているのは、VIX指数を参照するVIXの先物だ。GMOクリック証券でも「米国VI」という名称で、16年8月からVIX先物を参照原資産とするCFDを提供している。
先物のため、毎月期限があり、期限がきたら精算することになるが、米国VIでは期限のタイミングで翌月の先物に自動的に乗り換える処理をしている。先物は期限となる月(限月)によって価格が違うため、乗り換える際に発生する価格の差を「価格調整額」という名前で支払ったり、受け取ったりしている。
米国VIで、先の限月の先物のほうが値段が高いとき、投資家は価格調整額を受け取ることになるが、これは配当のようなものではないことには注意が必要だ。「価格調整額は、先物間の価格のズレを調整するもの。投資家に帰属する利益ではない。よく誤解があるようだが、もらって得なものではない」(佐藤氏)
より専門的には、こんな説明になる。「一般的には、VIX先物においてはコンタンゴの期間の方がバックワーデーションの期間より長い傾向にあるため、長期で保有するほど減価要因となる。そのため、VIX先物を参照している弊社の米国VIでは、コンタンゴとバックワーデーションの有利・不利を調整するために、毎月のロールオーバー時に価格調整額を受けたり払ったりしている」(GMOクリック証券)
コンタンゴとは、限月が先になるほど価格が高い状態を、バックワーデーションはその逆を指す。期限が先の先物が高いとき、順にそれに乗り換えていくと損失が発生していく。これを「減価」といっている。
また、VIXが急騰したり急落しても、先物のほうが変動が緩やかになることにも注意が必要だ。「通常、先物プレミアムの状態で不測の事態によりVIXが急騰した場合、直物の方が先に反応して動き、先物ディスカウントの状態になるため、変動幅は『VIX指数>VIX先物』となる」(GMOクリック証券)
VIXは市場が混乱すると上昇するが、市場が落ち着くといずれは20以下まで下がってくるという特徴がある。上がり続けたり、下がり続けたりしない指数のため、それを利用してトレードする一般の投資家も増加している。GMOクリック証券の売買代金ランキングでは、株価指数や個別株のCFD、商品など百数十種類の中で、米国VIは多くの月でトップ10に入っている。
GMOクリック証券では、「米国VIは非常に値動きが激しい商品。投資を考える場合は、しっかり注意してほしい」としている。
【訂正:17:30 初出で一部、価格調整額を価格調整金と誤表記していました。また米国VIは、VIX先物を直接取り引きできるものではなく、VIX先物を原資産としたデリバティブであるCFDです。訂正いたします。】
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