オンライン教育「周回遅れ」の日本 “コロナ休校”で広がる、埋められない空白:世界を読み解くニュース・サロン(1/5 ページ)
新型コロナウイルスの影響で休校が続く各国では、オンライン教育の提供が進んでいる。PCやルーターなどを無償提供して環境を整え、通常通りの時間割でオンライン授業を実施している国もある。日本も「教育の空白」を広げないための方向性を示すことが必要だ。
最近、イスラエルに暮らす4人の子供を持つ母親、シリ・ケニスバーグ・レビ氏がインスタグラムにアップした動画が世界的に話題になった。
イスラエルは今、新型コロナウイルスの感染者数が1万人を超え、死者数は100人を超えている。国内はすでにロックダウン状態で外出が制限されているほか、学校も休校になっている。
そして自宅にこもる子供には、学校からオンライン教育が提供されているのだが、レビ氏は学校から次々と送られてくる連絡や課題でパニック状態になり、車に逃げ込んでスマートフォンに向かって1分30秒にわたってイライラをぶちまけた。その動画をアップしたことで世界中に拡散された。ハリウッド女優などがこの動画を取り上げたことも拡散を後押しした。
動画はこんな具合だ。「これは機能してないわ。この遠隔教育のことよ。ほんとに、不可能よ! クレイジーね……家にはPCは2台しかないから、毎朝子供たちが取り合ってけんかよ。娘の先生は、子供を8時にPCの前に座らせてあいさつさせようと思ってるみたいだけど、どれだけ頭がお花畑なのよ。8時なんて、娘はまだ寝返りしてるわ!」
今、世界中で医療や経済だけでなく、教育分野も混乱している。多くの学校が休校する事態になっているからだ。
ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)によれば、新型コロナウイルスの影響で、世界188カ国15.7億人の学生や子供たちが学校に通えていない。そこで多くの国でオンライン教育が始められているのだが、冒頭のレビ氏のように、保護者もオンライン教育への対応に苦慮しているのが実情だ。
だが残念ながら、同じように休校状態が続いている日本は、この話題には付いていけない。というのも、公立学校を中心に、オンライン教育の分野で世界からずいぶん遅れている現実が浮き彫りになっているからだ。そこで、世界各地の状況を探ってみたい。
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