新型コロナで過酷さ増すトラック業界、「女性ドライバー」が期待ほど増えない理由:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
新型コロナで過酷さが増している業界の一つが物流だ。人手不足と高齢化を解決するために女性トラックドライバーへの期待が高まっているが、国交省が2014年からキャンペーンをやっているのに増えていない。まずは「トラガール」という呼称から見直し、男性本位の文化を変えるべきでは。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延により外出自粛要請が全国で続いているが、どうしても自粛できない業界の1つが物流だ。
現在多くの店が閉まっているとはいえ、生活必需品や食品はスーパーなどで購入することができるため、物流業界は止まることができない。またオンラインでショッピングする人も激増しており、宅配業なども忙しい日常が続いている。しかも荷物を運んだら「コロナを運ぶな!」と暴言を吐かれたり、除菌スプレーを顔にかけられたりしたなんてエピソードも報じられている。
そんな物流業界が直面している大問題がある。ドライバー不足と高齢化だ。国土交通省によれば、「トラック業界で働く人のうち、約45.2%は40〜54歳。一方、29歳以下の若年層は全体の10%以下」だという。
そこで期待されているのが、女性の進出だ。現在、大型免許を保有する女性の数は全国で13万4000人を超えているが、実際に仕事をしているのは約2万人にすぎない。つまり、現場に女性ドライバーが少ないのが実情なのだ。
そんな状況を打破しようと、国交省は「トラック運送業界における女性の活躍を促進するため、女性トラックドライバーを『トラガール』と名付け、様々な取組を進めております」とし、2014年9月から「トラガール促進プロジェクト」なる取り組みを始めている。
ただ、この活動によって女性ドライバーが増えているとは言い難い。日本における女性の全体の就業者は、19年6月に前年同月比で53万人も多い3003万人に増加し、3000万人を突破している。これは全産業で女性の占める割合が43%ほどになっていることを意味する。一方、国交省のキャンペーン立ち上げ当時のトラックドライバー全体に占める女性比率はわずか2.4%(13年)だったが、キャンペーン開始から2年後の比率も2.5%と依然低い状態のままだ。
一般的にはほとんど知られていないであろうこのキャンペーンは、実はかなり時代錯誤感が満載で、フェミニストとは縁遠い筆者ですら、そのセンスに違和感を禁じ得ないものになっている。
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