結局、首都圏の鉄道利用者はどのくらい減ったのか(3/4 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大によって、鉄道利用者が大幅に減った。首都圏の利用者数はどのくらい減ったのか。また減ったことで、未来の鉄道事業はどうなるのか。
駅利用者の減少と定員
都では、駅ごとの利用者数の推移も公開している。1月24日の利用者数を基準にした相対値だ。新宿駅を見てみよう。4月10日の段階では、7時台が42.6%減、8時台が61.7%減、9時台が60.7%減となっている。
新宿着が最混雑区間となる路線を見てみると、JR東日本の中央快速線と山手線外回りがある。中央快速線では普段は182%の乗車率、山手線外回りは158%となっている。これが中央快速線になると69.7%、山手線外回りは60.5%ということになる。いまでも在宅勤務をせずに、通勤している人は列車内を見てほしい。鉄道本来の定員が比較的空いているものとなっており、さらに空いてこのようになるということを。でも、日や時間によってはこの程度の乗車ということもあるのではないか。
JR東日本の新宿駅の一日平均乗車人員は75万1016人(平成25年度、以下同じ。出典は『数字で見る鉄道 2019』)。通勤時も減少し、昼間はもっと減少していることから、この数値も大きく下がっていることが予測される。
渋谷駅では7時台51.8%減、8時台65.9%減、9時台69.6%減。渋谷エリアには最先端のIT企業(普段は9時台出社の傾向がある)が多いため、それらの企業の多くが在宅勤務となっていることがこの数値にあらわれている。
渋谷着が最混雑区間の東急田園都市線をみると、通常時は182%の混雑率ながらも、約62%となっている。JR東日本の渋谷駅の一日平均乗車人員は37万8539人、東急渋谷駅は55万1254人、東京メトロ渋谷駅は47万3868人、その他に京王井の頭線もあることから、渋谷駅は余裕のある状況となっているだろう。
丸の内や八重洲などのオフィス街が周辺にある東京駅は7時台47.8%減、8時台67.7%減、9時台70.6%減となっている。東京駅周辺のオフィスがだいたい閉まっていることが見える。JR東日本東京駅の一日平均乗車人員は41万5906人。そこから平日の利用者が大きく削られていくことが分かる。
そうなると、通勤電車に余裕があるものの、ソーシャルディスタンスを保つため、列車の本数を削減することも困難だ、ということも理解できるのではないだろうか。
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