中小企業が新型コロナ下を生き抜くカギは「借金嫌い」の克服 中には「起死回生」となる業界も?:小売・流通アナリストの視点(2/5 ページ)
新型コロナ対策でさまざまな支援制度が出てきている。その中には「破格の条件」ともいえる融資制度も。平時は「借金嫌い」でも、緊急時には借金をいとわず、とにかく生き抜くことを考えるべきだと小売・流通アナリストの中井彰人氏は指摘する。あらゆる業界が対応を迫られているが、中には「起死回生」のチャンスとなっている業界も?
「破格の条件」で利用できる制度も
具体的には、新型コロナウイルスを受けた日本政策金融公庫の実質無金利融資をまず検討するべきだ。これは既に資金繰りが悪化した方々の“駆け込み寺”ともなっているので、申し込みが殺到して大変混雑しているということであるが、それでもお勧めしたいありがたい融資だ。
主に中小零細企業を対象にした制度では、融資限度6000万円を無担保で期間15年以内(設備資金なら20年)、利息のみの支払い期間である「据置期間」も5年以内で利用可能で、3000万円までは3年間は実質無金利。3年後の金利も通常より0.9%低く、現時点では0.46%程度で借りることができる。一定の売上減少条件等に適合すれば、申し込むことが可能だ。ただし、事業規模などに応じて、減額となる可能性もあるので要注意。
これは「破格の条件」であり、平常時であれば、中小零細企業がこのような条件で運転資金を借り入れることは、ほぼ不可能だといっていい。3000万円を借りたとしたら、3年は実質無金利、5年間はひとまず返済しなくてもよいのだから、少なくともコロナ禍の間は金利もかからず、返さなくてもいい、ということだ。
その後、残り10年間(つまり、月換算で120回)で分割返済と仮定すると、3000万円を借りた場合は毎月25万円を返済すればよい。これなら、なんとかなるところも多いのではないか。さらに、既存の公庫借入がある場合は、新規需要だけではなく、借り換えに充てることもできる。資金繰りが今は切羽詰まっていなかったとしても、要件に当てはまるなら、これは利用しない手はない。
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