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中小企業が新型コロナ下を生き抜くカギは「借金嫌い」の克服 中には「起死回生」となる業界も?小売・流通アナリストの視点(3/5 ページ)

新型コロナ対策でさまざまな支援制度が出てきている。その中には「破格の条件」ともいえる融資制度も。平時は「借金嫌い」でも、緊急時には借金をいとわず、とにかく生き抜くことを考えるべきだと小売・流通アナリストの中井彰人氏は指摘する。あらゆる業界が対応を迫られているが、中には「起死回生」のチャンスとなっている業界も?

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補正予算通過後にも動きが

 また、今後の補正予算案が通過すれば、この公庫融資と同等の融資が、都道府県の制度融資において用意されることになっている(つまり、実質無利子、無担保、据置最大5年、信用保証料減免、既往保証協会付き融資の借り替え可能という形)。これは、都道府県の制度融資として各都道府県などの信用保証協会の保証付き融資が準備されるというものであり、詳細は未確定ではあるが、補正予算通過となったタイミングで詳細を把握することができるだろう。

 既に信用保証協会の特別枠が、売り上げの減少などを要件として用意されているので、この増枠を利用して新たな制度融資を使えば、有利な条件(公庫と同条件)で資金調達が可能となる。これでも足りないような事業規模が大きい企業の場合には、無利子ではないが(金利0.21%)、商工中金の「危機対応融資」という制度もある。ただ、商工中金の場合はかなり精緻(せいち)な経営計画などを問われるという印象があり、中小零細企業にはハードルが高いかもしれない(個人の感想です)。

「連鎖倒産」を防ぐためには?

 今後、経済環境がさらに悪化した場合、販売先からの売掛金の回収もうまくいかない可能性がある。販売先の倒産、支払い不能が発生すれば、いわゆる「連鎖倒産」の危機に巻き込まれる可能性もある。こうした場合に備えるに、経営セーフティ共済という制度があることは知っておこう。


連鎖倒産を防ぐことも重要(出所:ゲッティイメージズ)

 「新型コロナ対策」の制度ではないので、検索してもなかなか上位に出てこないのだが、ぜひ内容を見ておいてほしい。ざっくり言えば、販売先で回収不能が発生した場合、「納付済掛金の10倍(貸倒額が上限)」まで、スピーディーに借り入れして資金繰りを補填することができる、国の共済制度である。掛金は損金算入できたり、一括納付できたりするので、今からでも加入しておく価値はあるので、詳細を確認しておこう。かつての金融危機などでは多くの企業が倒産してしまったが、この共済を利用していたことで連鎖倒産から救われた中小企業を筆者は多数知っている。

 これら公的支援制度をフル活用すれば、中小零細企業であっても、無金利や低金利で資金調達(もしくは一部は借り替え)ができる可能性は高い。当然、窓口は混んでいるし、電話もつながりにくくはあるが、手間を惜しまず可能な限り融資を借りて、最大限の資金を手元に置くことを、強くお勧めする。こうした状況下で、この資金が無用となる企業は少なくはないはずだ。非常時において、民間の投融資は、当てにはならないということを念頭において、今すぐ手元流動性の確保に動いていただきたい。


国の資金繰り支援の一覧表(4月14日現在のもの、出所:経済産業省公式Webサイト)

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