急増するコロナ倒産、本当に怖いのは「早期リタイア企業」の増加?:古田拓也「今更聞けないお金とビジネス」(1/2 ページ)
経営の危機に直面していない企業であっても、今回の新型コロナを機に廃業を決定する「早期リタイア」企業が増加するのではないか。
「新型コロナ倒産」が深刻化している。東京商工リサーチの調べによれば、「新型コロナ」関連の経営破綻は、2月は2件の確認だったが、4月には累計100件に拡大した。緊急事態宣言に基づく外出自粛のあおりをうけた宿泊業や飲食業が、深刻なダメージを受けているのが現状だ。
5月に緊急事態宣言の延長が宣言されれば、キャッシュフローが潤沢ではない企業からドミノ倒し的に倒産件数が増えていくリスクがある。ここまでは新型コロナに直接的な因果関係があるという点で、一定程度、救済措置が及ぶ可能性が高い。
しかし筆者は、経営の危機に直面していない企業であっても、今回の新型コロナを機に廃業を決定する「早期リタイア」企業が増加するのではないか、という点を危惧しており、この点の支援も不可欠であると考えている。
そこで今回は、日本の中小企業が従前から抱えている「後継者不足による廃業」という問題から、この動きが新型コロナでなぜ深刻化するかを考えたうえで、いかなる支援が求められるのかを検討したい。
廃業企業の6割が黒字、背景は経営者の高齢化
日本の中小企業が以前から抱えている構造的な問題点といえば、「後継者不足による廃業」の増加だ。帝国データバンクや中小企業庁の調べによれば、1995年から2015年までの20年間で、経営者数がピークとなる年齢が、47歳から66歳にまで高齢化した。ピークとなる年齢層が20年間で19歳高齢化したということは、95年当時の経営者が、おおよそそのまま経営者であり続けているような構造ということになる。
図表は1995年から2020年における経営者年齢の分布を図表にしたものだ。
これを見ると、95年にはわずか7.3%程度だった70代の経営者が、20年には19.3%と、3倍近い水準にまで上昇している。その一方で、50代未満の経営者は、95年の67.1%から足元では48.2%まで低下しており、経営者の世代交代に難がある現状がうかがえる。
東京商工リサーチが今年1月に発表した、「2019年 休廃業・解散企業 動向調査」によれば、休廃業企業の代表者のうち、約4割が70代以上であった。これを踏まえると70代以上の経営者が舵(かじ)取りを行う2割超の中小企業が、後継者不足に伴う廃業の予備群ということになる。
経済産業省の「デジタルトランスフォーメーションレポート(平成30年9月7日)」(以下、DXレポート)で報告されたところによれば、19年に休廃業・解散した企業の61.4%は、直前期の当期純利益が黒字であった。
つまり、高齢化による経営者の負担増加や、後継者不足による技術・ノウハウの伝承が行われないことで、業績に関係なく廃業を余儀なくされるという点が問題なのだ。
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