「電車通勤」の歴史と未来 ITとテレワークで“呪縛”は解けるか:杉山淳一の「週刊鉄道経済」(6/6 ページ)
新型コロナウイルスの感染拡大によってテレワークが広がった。外出自粛から解放されたときにはどうなるか。それは「電車通勤」の在り方に関わる。長時間の満員電車が当たり前というのは“呪縛”だ。電車通勤が根付いた歴史を振り返ってみると……
外出自粛が解除されたとして、いったんは元の状態に近い通勤ラッシュになるだろう。しかし、そこは元の社会ではない。テレワークの洗礼を受けた社会である。IT技術の普及と低廉化によって、通勤需要は少しずつ減っていく。もとより、鉄道事業者は少子高齢化社会を見越して中期経営計画を作ってきた。その需要減少が確実に加速する。
通勤地獄を招いた「通勤手当」が、「IT投資」や「在宅勤務IT設備手当」に変わる。ハワードが提唱した「職住接近型の田園都市」が、ようやく誕生するかもしれない。
通勤路線を抱える鉄道事業者は、IT技術の動向を今までより注意深く見守る必要がある。ITmediaと名の付く媒体で、鉄道に関する情報が掲載されている。その本領が発揮されるときがきた。筆者もそのために決意を新たにした次第である。
杉山淳一(すぎやま・じゅんいち)
乗り鉄。書き鉄。1967年東京都生まれ。年齢=鉄道趣味歴。信州大学経済学部卒。信州大学大学院工学系研究科博士前期課程修了。出版社アスキーにてPC雑誌・ゲーム雑誌の広告営業を担当。1996年よりフリーライター。IT・ゲーム系ライターを経て、現在は鉄道分野で活動。鉄旅オブザイヤー選考委員。著書に『(ゲームソフト)A列車で行こうシリーズ公式ガイドブック(KADOKAWA)』『ぼくは乗り鉄、おでかけ日和。(幻冬舎)』『列車ダイヤから鉄道を楽しむ方法(河出書房新社)』など。公式サイト「OFFICE THREE TREES」ブログ:「すぎやまの日々」「汽車旅のしおり」。
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