連載
SaaS導入で意識すべき、バックオフィスの3階建て構造:本当に効率を上げるためのSaaS(3/3 ページ)
今回は、SaaSを使ってバックオフィスを再構築する上で欠かせない業務設計について見ていく。その際のポイントは3つある。(1)全体最適の視点を持つ(2)自社にあったSaaSを選ぶ(3)会計処理を意識する だ。
効率化しなければ生き残れない
企業におけるデジタル化や効率化に対する取り組みは、経費削減を目的としたものが多かった。しかし、日本の生産年齢人口はこれから減少の一途をたどることが確実であることを考えると、企業が生き残るためには必要不可欠なものとなる。根本から仕事の仕方を見直さなければいけない。
最近はDX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉を聞く機会も増えてきた。DXとはデジタル技術の浸透によって、既存の価値観や枠組みを根本から変革していくことを意味する。ここで重要なのは、デジタル技術が進展するだけでは決して変革は実現できないということだ。
Microsoftが17年にアジアのビジネスリーダーに調査した結果を見ると、DXにおける優先順位の1位は「業務を最適化すること」になっている。人間が仕組みを作り、業務を最適化した上で、適切にデジタル技術を活用することでDXは実現できる。
SaaSの普及によって、中小企業でもデジタル技術の恩恵を受けることが可能になった一方で、業務の見直しや再構築を行う業務設計の重要性はますます高まっている。表面的な最新技術や新機能を追うのではなく、まずは足元の業務を棚卸して、ゼロベースで業務を見直していくことが、遠回りのようで実はDXに向けた最短の道になる。それが、本当に効率を上げるためのSaaS活用につながるのだ。
関連記事
- SaaSはバックオフィスの何を変えるのか
バックオフィス業務を支える便利な道具に、SaaS(サース)がある。営業やマーケティングの分野が先行して導入が進んだが、ここにきてバックオフィスにもSaaSの活用は広がっている。SaaSを導入して効率化された企業もあれば、逆にうまく活用できずに生産性が下がってしまったという企業もある。その違いはどこにあるのか。 - freeeを受け入れられないベテランたち 成功事例と失敗事例
導入後にバックオフィスの担当者による賛否が真っ二つに分かれるのが会計freeeの特徴だ。freee導入によって大幅にバックオフィスが効率化された会社もあれば、逆に全く使いこなせずに現場が混乱し、結局従来の会計ソフトに戻してしまった会社もある。成功と失敗を分けたのは何だったのか? - 日本の生産性を押し下げる「経費精算」が無くならない根本理由
多くの会社員にとって、最も身近な事務処理、経費精算。しかし社員、経理担当者の双方にとって経費精算処理の難しさは、領収書などの原本回収が必須になることだ。電子帳簿保存法の改正はあったが、現時点でも導入企業はたったの2000社弱。中小企業にとってはむしろ導入コストや運用コストが増えるだけで、ほとんどメリットがないのが電子帳簿保存法だ。 - freee“10倍値上げ”問題から考えるサブスクエコノミーの落とし穴
今週上場したfreeeの波紋が後を引いている。freeeが提供する法人向け会計サービス内容の改定が今月上旬に発表され、これが実質“10倍値上げ“になるとSNS利用者の間で解釈されたためだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.