経営者必見 新型コロナ対策で税金が「戻ってくる・少なくなる・待ってもらえる」:専門家のイロメガネ(1/4 ページ)
新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言による外出自粛などの影響を少しでも緩和するため、打ち出された緊急経済対策の中には、税制の特例も含まれている。税金の制度は、経営者として事業を守るため積極的に使っていくべきだが、名称からして分かりにくいものが多い。自身が対象となるか分からない事業者も多いだろう。そこで事業者向けに新型コロナ緊急経済対策の税制について簡単に紹介したい。
2020年4月30日、新型コロナウイルス感染症緊急経済対策が成立した。
現在、新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言による外出自粛などで、事業者の事業の活動は多大な影響を受けている。その影響を少しでも緩和するため、今回の緊急経済対策に盛り込まれたのが、度々話題となっていた持続化給付金や特例定額給付金だ。さらに緊急経済対策の中には、税制の特例も含まれている。
このような税金の制度は、経営者として事業を守るため積極的に使っていくべきだが、名称からして分かりにくいものが多い。自身が対象となるか分からない事業者も多いだろう。そこで事業者向けに、新型コロナの緊急経済対策となる税金の制度について簡単に紹介したい。
なお、制度に関しては、20年4月20日の閣議決定に基づく公表資料、関連する法律案及び国税庁Webページを基にしている。
種類は「戻ってくる・少なくなる・待ってもらえる」
今回の税制の種類は、簡単にいうと「戻ってくる・少なくなる・待ってもらえる」の3種類だ。税金は「納税の義務」を国民が負っているものであるため、「もらえる」という種類のものはない。
なお、「もらえる」ものに関しては税金の制度ではなく、持続化給付金などの別の制度があるため、そちらを確認してもらいたい。
「戻ってくる」税金の制度
戻ってくる制度で今回の対策に入れられたものが、「欠損金の繰戻しによる還付」という制度の対象の拡大だ。この制度は、前年度に黒字で税金を納めていた法人が利用できる。
例えば、前年度1000万円の黒字で、法人税(及び地方法人税)を240万円納めていた企業が、今年度1000万円の赤字になったとしたら、前年度納めた税金240万円が戻ってくる。ただし、今年度2000万円の赤字になったとしても、戻ってくるのは、前年度の1000万円に対する税金部分の240万円までとなる。
ちなみに、ここでいう赤字黒字は税務上の数字であり、決算書の数字とは違うので注意してもらいたい。
この制度は「資本金1億円以下の法人」のみが対象だったため、資本金が1億円を超える企業は従来対象とならなかった。今回の対策で、資本金が「1億円超10億円以下」の法人まで対象が拡大される。ただし、大法人(資本金10億円超)の100%子会社であるような場合などは適用が除外される。
なお、戻ってくる税金は国に納める法人税及び地方法人税のみで、地方自治体に納める地方税に関しては戻ってこない。
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