経営者必見 新型コロナ対策で税金が「戻ってくる・少なくなる・待ってもらえる」:専門家のイロメガネ(2/4 ページ)
新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言による外出自粛などの影響を少しでも緩和するため、打ち出された緊急経済対策の中には、税制の特例も含まれている。税金の制度は、経営者として事業を守るため積極的に使っていくべきだが、名称からして分かりにくいものが多い。自身が対象となるか分からない事業者も多いだろう。そこで事業者向けに新型コロナ緊急経済対策の税制について簡単に紹介したい。
「少なくなる」税金の制度
少なくなる税金の制度は、今回の対策の中に複数計上されている。主なものを中心に紹介していこう。
1つ目は「テレワーク等のための中小企業の設備投資税制」だ。これは「中小企業経営強化税制」という税制の拡充で、適用対象資産に、これまで含まれていなかったテレワーク設備(遠隔操作、可視化、自動制御化のいずれかに該当する設備)が加えられる。
経営力向上計画という計画の認定を受け、対象となる設備を購入した場合、法人税などの税金が少なくなる制度である(特別償却または税額控除のどちらかを用いて)。経営力向上計画の認定、対象設備に該当するかの確認は必要であるが、これに該当する投資を行った場合、納める税金の額が少なくなる。
2つ目が固定資産税等の軽減措置で、収入が一定以上下がっている法人の固定資産税などを少なくしてもらえるという制度だ(正式名称は「中小事業者等が所有する償却資産及び事業用家屋に係る固定資産税及び都市計画税の軽減措置」)。
具体的には、中小事業者等(資本金1億円以下の法人など)の、20年2月〜10月までの間の任意の連続する3カ月の収入(例えば今年の4月〜6月)が、前年の同期間(例えば前年の4月〜6月)の収入と比較して、50%以上減少している場合は全額、30%以上50%未満の減少なら2分の1、21年度の固定資産税及び都市計画税が少なくなる。
ただし、21年1月31日までに認定支援機関(税理士、公認会計士など)の認定を受けることが要件とされており、虚偽記載をした場合には罰則がある。
3つ目が「生産性革命の実現に向けた固定資産税の特例措置の拡充・延長」だ。この制度の適用期限が23年3月まで2年間延長され、さらに対象に設備等だけでなく、事業用家屋と構築物が加えられる。
先端設備等導入計画という計画の認定を受け、対象となる設備を購入した場合、3年間固定資産税が少なくなる(市町村の条例によって違うが、2分の1以下になる)。より積極的な投資を支援する制度改正といえるだろう。
主なものは以上だが、他に自動車税・軽自動車税の取得時に環境性能によって支払わなければいけない税金を軽減している制度の延長(21年3月31日までに取得したものまで)、新型コロナで影響を受けている事業者に対して実施する特別貸付に関して印紙税がかからなくなる制度などなり、合わせて確認してもらいたい。
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