経営者必見 新型コロナ対策で税金が「戻ってくる・少なくなる・待ってもらえる」:専門家のイロメガネ(3/4 ページ)
新型コロナの感染拡大、緊急事態宣言による外出自粛などの影響を少しでも緩和するため、打ち出された緊急経済対策の中には、税制の特例も含まれている。税金の制度は、経営者として事業を守るため積極的に使っていくべきだが、名称からして分かりにくいものが多い。自身が対象となるか分からない事業者も多いだろう。そこで事業者向けに新型コロナ緊急経済対策の税制について簡単に紹介したい。
「待ってもらえる」税金の制度
待ってもらえる税金の制度は、申告を待ってもらえる制度、計算された税金の支払いを待ってもらえる制度、提出期限のある届け出を期限後でも受け付けてもらえる制度の3つである。
まず税金の申告を待ってもらえる制度を紹介する。これは補正予算成立以前から始まっている。個人の税金を計算して申告する確定申告の期限は、毎年3月15日(今年は曜日の関係で3月16日)までだが、新型コロナの影響で今年は4月16日まで延期された。4月17日以降も簡単な手続きで申告期限が延長できることとされている。
簡単な手続きとは、新型コロナウイルスの影響で、期限までに申告・納付等ができないやむを得ない理由がある場合、申告書等に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」と記載するだけでいい。やむを得ない理由には、感染拡大防止の取組により外出自粛を行っているケースも含まれ、広範囲の理由が対象になっている。
この制度は、国に納める税金だけでなく地方自治体でも同様の対応が行われている(ただし、地方自治体によって延長の申請方法は違う可能性がある)。外出自粛で思うように経理処理が進んでいない場合も慌てることなく、この制度を利用して対応していくことが望まれる。
次に税金の支払いを待ってもらえる「納税の猶予制度」だが、通常は一定の期間(原則1年)において、大幅な赤字が発生した場合や一時の納税ができないと認められる場合に適用できるものだ。原則、担保提供が必要であり、延滞税という利子のような税金も加算される。
この制度が、新型コロナの影響を加味して、特例として20年2月1日以後の1カ月以上の期間に、収入の減少(概ね20%以上の減少)があった場合にも認められる。例えば20年4月の収入が、前年度同月の収入から20%以上減少しているような場合が該当する。一時の納税ができないと認められる場合も、これまでより柔軟な対応がなされることとなった。
さらにこの特例を利用する場合、担保は不要で延滞税も免除される。担保や延滞税の心配なく利用できるため、制度を利用する心理的なハードルは下がるだろう。なお、社会保険料も同様の扱いとなっている。
3つ目の届出関係であるが、今回の新型コロナの影響に関しては、消費税の届出書に特例が設けられている。今回の特例は、消費税の課税事業者になるかどうかの選択に関連する届出書(課税事業者選択届出書等)に設けられた。
消費税は、基本的に2期前の課税売上(消費税がかかっている収入)が1000万円を超えている場合や、資本金が1000万円以上の法人は、消費税の申告・納付をしなければならない。そうでない場合は消費税の申告・納付をしなくてもよいが、選択で申告・納付をすることもできる。
この選択を行う届出書(もしくは取りやめる届出書)は、課税期間が始まる前に提出しなければいけないとされているが、今回の特例で制度が定める期間内に売上が著しく減少(概ね50%以上の減少)している場合で、税務署長の承認を得た場合、課税期間開始後の提出でも認められるようになった。
加えてこの選択をした場合、通常2年間は継続要件等もあるが、特例でこの継続適用要件等を適用しないこととなったため、より柔軟な選択ができるようになっている。
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