「日本人なら国産」のこだわりが、”マスクパニック”を再燃させてしまうワケ:スピン経済の歩き方(4/6 ページ)
「ドラッグストアでマスクを買うことができたよ。『MADE IN CHINA』だけどね」といった人が増えてきたのでは。その一方で、「マスクは国産でなければいけない」という人もいるわけだが、こうした考え方に筆者の窪田氏は警鐘を鳴らしている。なぜかというと……。
世界中からマスクを調達できるルートを
ご存じのように、中国で新型コロナの感染が拡大した2月、日本国内の大手メーカーの自動車工場が稼働を停止した。実は我々が「国産車」と呼んでいるクルマの部品の多くは中国産なのだ。
今年2月21日の日本経済新聞の「車部品輸入の3割 中国製 エンジン周辺の中核も」という記事によれば、ドアの開閉部分やブレーキペダルから、エンジンや変速機といったクルマの心臓部にまで、「MADE IN CHINA」に依存しており、日本の輸入部品のうち37%を中国に依存している。
この「中国からの部品供給が止まると、モノがつくれない」のは自動車だけにとどまらない。中国から部品が入ってこないことで、パナソニックはトイレや食洗機の新規受注を一時停止したほか、3月に発売を予定していたロボット掃除機の新機種発売も4月にずらした。キヤノンも部品調達が不安定なことを理由に、3月国内のカメラ生産を一時休止している。
日本の家電やらを外国人に見せびらかせて、「みたか! これがメイドインジャパンの底力だ!」などと自慢するテレビ番組があったが、厳密に言うと、これはかなり盛った決めゼリフになる。正しくは、「みたか! これがメイドインチャイナの部品を国内で組み立てたメイドインジャパンの底力だ!」と自慢しなくてはいけないのだ。
では、ここまで深刻な「中国依存」が進行している今の日本で、確実にやってくるコロナの第2波、第3波でマスクパニックにならないためにはどうすべきか。
不織布の生産量をあげて、内製化率を高めることはもちろん大切だが、これまで述べてきたような現実からも、いきなりそちらへシフトチェンジすることは難しい。ならば、これまで通りに中国産の部品や原材料を利用しつつ、東南アジアやその他の国からも調達できるルートを広げていくほうがよほど現実的ではないか。
つまり、中国に偏っているサプライチェーンを危機に対処できるように強化していくのだ。
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