ドイツはどうやって「2日」で助成金支払いを実現したのか? 開発元銀行インタビュー:迅速なシステム構築の裏側に迫る(4/7 ページ)
コロナ危機に対して、ドイツ・ベルリンでは、助成金支給のシステムを2日で開設し、オンラインで申し込むと即座に5000ユーロが振り込まれるという、素早い対応を取った。この仕組みの裏側はどうなっているのか? ベルリンで給付を担当したInvestitionsbank Berlin(以下IBB)へインタビューした。
――本当にスピード対応ですね。他の州でも銀行が援助金支払を行っていますが、知人友人からは手続きが結構面倒だと聞いています。なぜ、ベルリンでは手続きが非常に簡単だったのでしょう? ベルリンには多くのフリーランサーが住んでいることが理由なのでしょうか?
ホルトカンプ氏 ベルリン州とIBBは、申請と処理を最も簡易化する選択を行いました。このことにより、私たちは多くの自営業者/フリーランサー/中小企業を迅速に支援することを目指しました。
――さて、コロナ危機へのドイツの援助金支払いはあまりに迅速でした。あまりに速かったので、こういったパンデミック非常事態に備えて、事前からリスクマネジメントシステム、あるいはBCPがあったのではないかと、私は想像しています。感染症リスクが発生した場合の採るべきシナリオが既に用意されていて、それに従ったため、迅速な対応という結果になったのではないかと。
例えば日本では、地震が多いので、銀行では震災対応のBCPを用意しています。でもパンデミック対応のBCPは、日本には存在しないと思います。実際、エンジニアとして銀行のシステムを開発したことがありますが、震災対応BCPだけ構築しました。だから今、日本はとても混乱している。そういうリスク管理シナリオ(パンデミックBCP)は、貴行に存在しますか?
ホルトカンプ氏 実際IBBには、高度な危機管理システムが、あるにはあります。でも今回の世界的パンデミック――つまりそれは、世界経済ほぼ全体が一時的に停止することを意味しますが、さすがに、これは「シナリオどおり(Tagesordnung)」ではなかったですよ。銀行従業員全員、IT部門のクリエイティブな従業員に感謝しています。彼女/彼らの昼夜問わずぶっ通しの仕事のおかげで、迅速かつ効果的に対応することができました。
――さて、4月9日に閣議決定されたSoforthilfe IVとVですが、なぜ、IIIがないのでしょうか? この救済金パッケージは前々からリスク対応パッケージとして用意されていたように推測しますが、そうなのでしょうか?
ホルトカンプ氏 いえ、Soforthilfe IIIも存在しますよ。ですが、IBBを通じては処理されません。上院財務省預かりです。このプログラムは、コロナ危機によって限られた範囲でしか働けない受給者への給与支払いを、企業が継続できるよう支援します。
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