コロナ不況に「がんばれ日本!」が、まるっきり逆効果になってしまうワケ:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
新型コロナの感染拡大を受けて、自粛生活が長引いている。そんな中で、「がんばれ!」という言葉をよく耳にするようになった。「がんばれ、もう少しの辛抱だ」「気を緩めてはダメ、がんばれ」といった文言が多いが、こうした傾向に対して、筆者の窪田氏は警鐘を鳴らしている。どういうことかというと……。
不要不急の仕事に精を出していた
例えば、日本社会のあちこちで行われていた「会議」が分かりやすい。
日本のサラリーマンたちはこの「会議」というものに、世界のどの労働者よりも一生懸命に取り組んでいた。「会議のための打ち合わせ」や「会議の資料づくりの残業」など、仕事の中でもかなりのウエイトを占めていたが、文句も言わずにがんばっていた。「会議」は日本のガンバリズムの象徴だったのだ。
しかし、コロナ危機が到来したことで、電話やメールの連絡やリモート会議で事足りることが山ほどあり、実際に「会議」をしなくてはいけないことなどわずかであることが分かった。
これは当然で、パーソル総合研究所が6000人のビジネスパーソンを対象に調査したところ、1万人規模の大企業では1年間に約67万時間、約15億円も「ムダな会議」に費やしていることも分かっている。
要するに、コロナ以前の日本人は「これが働くということだ、がんばれ」と叫びながら、不要不急の仕事に精を出す、というトンチンカンなことをしていたのだ。
これはリモートできないサービス業もしかりで、「お客様に失礼にあたる」なんて理由でムダな礼儀、ムダな作業、ムダなサービスに一生懸命取り組んでいた。「それが日本のおもてなしだ」という人もいるだろうが、人口が減少して労働者が減っていく社会で、そのようなガンバリズムを振りかざしても現場は疲弊するだけだ。
これから史上最悪の不況がくるというのに、こんなトンチンカンなことをしていたらさらに事態を悪化させてしまう。これが筆者がガンバリズムを控えるべきだという最大の理由だ。
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