検察庁法騒動から見る、Twitterの“大きすぎる影響力”と功罪:世界を読み解くニュース・サロン(2/6 ページ)
政府が検察庁法改正案の成立を見送った。Twitterで巻き起こった反対運動がその背景にある。政府にも影響を与えるTwitterのプラットフォームをどう捉えるべきか。海外では大量の偽アカウントが暗躍しているのが現実。実態を知った上でビジネスにも使うべきだ。
スパムやボットが多かったのか
そもそもTwitterのSNSとしての最大の特徴は、誰でも匿名で利用できることである。しかも比較的簡単に、1人がいくつものアカウントを作れてしまう。さらにスパムやボットによるツイートなど、自動的にツイートやリツイート数を増やすようなことも、禁止ではあるができてしまう。フォロワーを購入することも可能だ。
そんなプラットフォームで、今回は「#検察庁法改正案に抗議します」を含むツイートが最大で500万件以上投稿されたと報じられている。そしてその「抗議」に反対する側からは、スパムによって多数のツイートがなされたか、または、自動で投稿するボットがほとんどだったのではないかとの指摘が出た。
この意見には特に根拠もなく、政治的なポジショントークで希望的観測にすぎないのだが、それを堂々とツイートできてしまうのが匿名性を確保したTwitterの特徴の一つだ。こうしたツイートに対し、安倍支持者らは「そうだそうだ!」と賛同した。
ただ実際に検証を行った人の見解(参考リンク)によれば、スパムやボットだったとは言えなさそうだ。とはいえ、反対にスパムやボットではなかったとも言い切れず、実際に1人で何回も同じリツイートをしているような人も確認されている。
しかも、米南カリフォルニア大学などの調査では、Twitterユーザー全体のうち最大で15%がボットの偽アカウントという指摘もあり、世界中でスパムやボットが蔓延しているのは現実である。
逆に、「#検察庁法改正案に抗議します」に賛同してツイートした人たちからは、こんな声が上がっている。例えば、Twitterの「トレンド」で表示されていたツイート数が減ったという意見だ。改正案に声高に反対していたタレントのラサール石井氏は「はい。Twitterが消えました。皆さんまた一から始めましょうや。こちらはお陰様で時間はいくらでもあるんだから。」とツイートし、1.7万回リツイートされていた。
本当に消されたのか。ただこれについても、ツイート数がまとまって合計に反映されなくなるケースもあるために、ユーザーの多くが参考にしている「トレンド」のツイート数を見て数が減っていることを理由に「消えた」とは言い切れない。それはTwitter社も、取材に認めている(関連記事)。
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