コロナうつにならないために 従業員のメンタルケア、“不安とうまく付き合う”サポートが鍵:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/3 ページ)
新型コロナによるテレワーク体制で、業務やコミュニケーションに悩みを抱えやすくなっており、メンタルケアに対する関心が高まっている。法人向けサービス「emol work」ではAIが“セルフケア”を支援。自分や他人を否定しない考え方が役に立ちそうだ。
「負の感情」とうまく付き合うサポートを
テレワークが普及していく中でのメンタルケアについて、武川氏は、emol workでも重要なポイントとなっている“セルフケア”を促すことが有効だと話す。
「コロナがなかなか収束しないと、不安などネガティブな感情が常に付きまとうことになります。不安を否定せずに受け入れて、うまく付き合っていくことができれば、簡単につぶされないし、他人をむやみに攻撃することも減っていくのでは」(武川氏)
従業員のセルフケアをサポートする一環として、emol workのようなツールやオンラインカウンセリングなどを導入することは、個々がネガティブな感情を認識し、「考え方を変えることができる」ことに気付くきっかけの一つになる。
そのため、上司や部下の顔が見えない中で、相手に対する決めつけや思い込みにとらわれたり、「働いていないのでは」と疑心暗鬼になったりする人に“気付き”を与えるきっかけにもなるだろう。
「負の感情を認識できれば、(自分の思い込みに)根拠がないということ、相手も不安なのは同じだということに気付けます。そうすれば、少しずつ論理的な考えができるようになり、余計なことで怒ることも減らせます。感情的になるよりも、どうすれば分かってもらえるか考える方がいいと分かってきます」(武川氏)
仕事でもプライベートでも家に閉じこもりがちになり、見えないウイルスの情報ばかり目に入ってくると、ネガティブな感情にとらわれてしまっても不思議ではない。「不安を受け入れるなんて難しい」と思うかもしれないが、それをサポートする人やツールの存在があれば、少しは楽に過ごすことができるかもしれない。
武川氏は「メンタルヘルスに対する、病気や予防といった重いイメージを変えたいという思いがあります。AIを通じて従業員のケアができる、サポートツールとして使ってもらいたい」と話している。
関連記事
- 後悔から生まれた“こころの天気予報”
研修や情報提供などのメンタルヘルス対策を実施しても、効果が見えづらいと感じることも多いだろう。従業員の気分の変化を“見える化”してメンタル不調を予防するシステムを開発したIT企業の事例から、メンタルヘルス対策のポイントを探る。 - 職場で見過ごされる“心の暴力” 教員暴行事件に見る、オトナ社会の異常さ
神戸市の小学校教師の問題が「いじめ事件」と報じられていることに違和感がある。これは暴行だ。このような大人の言動を見て子どもは育つ。子どものいじめ問題以前に、「パワハラ」という精神的暴力、“見て見ぬふり”の姿勢をどうにかしなければならない。 - 社内表彰をしても、若手が辞めてしまうのはなぜか
社内表彰などの「褒める制度」を導入している企業はたくさんあるが、それはモチベーションや定着率の向上につながっているだろうか。1000社が導入した「褒め合い」システムを開発した企業に、褒める文化が根付かない理由や称賛の考え方などを聞いた。 - 休日も“心”は疲弊 働きがいに影を落とす「休み方」の落とし穴
2019年版の労働経済白書では「働きがい」を数値化して分析。「休み方」と働きがいの関係も調査された。ただ休むだけでなく、仕事から心理的距離を置いたり、仕事以外の時間をチャレンジのきっかけにしたりできる休み方をしないと、“心の疲れ”は癒やせない。 - 誰も頼れず孤独死も…… 新型コロナがあぶり出す、家族と社会の“ひずみ”
新型コロナ感染拡大によって、孤独死の問題も表面化している。家族のカタチは大きく変わり、頼ることができる「家族」がいない人も増えている。一方で、日本社会は40年前の「家族による自助」を前提とした理念と仕組みを踏襲し続けている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.