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誰も頼れず孤独死も…… 新型コロナがあぶり出す、家族と社会の“ひずみ”河合薫の「社会を蝕む“ジジイの壁”」(1/5 ページ)

新型コロナ感染拡大によって、孤独死の問題も表面化している。家族のカタチは大きく変わり、頼ることができる「家族」がいない人も増えている。一方で、日本社会は40年前の「家族による自助」を前提とした理念と仕組みを踏襲し続けている。

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 新型コロナウイルス感染拡大は、これまでの社会問題を次々と表面化させています。その一つが「孤独死」です。

 4月、路上で倒れて亡くなっていた男性が新型コロナに感染していたことが分かりました。男性は倒れる直前、コンビニにふらついた様子で入店し、会計時にはカウンターにうずくまるような体勢でお金を支払ったものの、店員に胸の苦しみや体調不良を訴えることはなかったといいます。その後、「路上に人が倒れている」と通行人から通報があり警察が駆け付け、心肺蘇生など手を尽くしましたが息を吹き返すことはありませんでした。

 男性は一人暮らしで、3年前までは認知症の母親を介護していたそうです。ご近所付き合いはあいさつ程度で、町内会などにも入っていなかったそうです。

 ……急に呼吸ができなくなり、保健所や病院に電話するもつながらず、かといってとっさに連絡をする家族も、友人もいない……。私も一人暮らしなので、想像するだけで痛ましく、言葉にしがたい不安を感じるのですが、この男性の他にも、部屋で一人で倒れている状態で見つかり、その後のPCR検査で陽性と判定されるケースなどが、5都県で11件あったと報じられています(4月19日まで)。

 新型コロナウイルスは全ての人にとって「脅威」ですが、雇用のカタチ、家族のカタチにより間接的なリスクは大きく違います。今後はコロナによるものだけではなく、コロナ関連の孤独死が増える。そう思えてなりません。


新型コロナの脅威にさらされ、社会のひずみが表面化している(写真:ロイター)
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