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ホンダの決算から見る未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(3/7 ページ)

ホンダの決算は、コロナ禍にあって、最終的な営業利益率のダウンが4.2%レベルで抑えられているので、酷いことにはなっていない。ただし、二輪事業の収益を保ちつつ、四輪事業の利益率を二輪並に引き上げていく必要がある。特に、武漢第3工場の稼働など、中国での生産設備の増強は続いており、中国マーケットへの傾倒をどうするかは課題だ。

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悪くない決算

 売上高はどうか? これはもちろん全体の話だ。前年度との比較で見ると、18年の15兆8886億円から9576億円(マイナス6%)下げて、当期は14兆9310億円となっている。

 これによる利益は、18年の7263億円から927億円(マイナス12%)下げて6336億円。その結果営業利益率が4.6%から0.4ポイント下げて4.2%となっている。

 ここまでの総評を述べれば、四輪の生産台数減は50万台強。それはつまり大型の工場1つ分、あるいは標準規模の工場2つ分近い減で、生産効率を維持するにはかなり厳しい。とはいえ、利益については、最終的な営業利益率が4.2%レベルで抑えられているので、酷いことにはなっていない。

 問題は、コロナの本格的影響はほぼ次年度の決算を直撃するはずだということだ。全ての指標がこれより落ちるということを前提にすると、次年度に備えて、もう少し高度を維持しておきたかったところだ。特にホンダの場合、中国での生産拠点の半分が武漢にあり、あらゆるリソースの移動を含む、サプライチェーンの毀損の影響を最も大きく被ってしまった一社である。

 武漢は再稼働したものの、決算発表の時点で、まだ休止中の生産拠点も多い。まだ休止中のメキシコ工場は米国のみならず、日本も含めた世界全体のホンダの工場に広範囲の部品を供給する重要拠点なのだが、コロナの終息がまだ見通せない。メキシコの再稼働が伸びれば、グローバルな業績に多大な影響を与えかねない。


主要生産拠点の稼働状況(ホンダ決算説明資料より)

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