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ホンダの決算から見る未来池田直渡「週刊モータージャーナル」(4/7 ページ)

ホンダの決算は、コロナ禍にあって、最終的な営業利益率のダウンが4.2%レベルで抑えられているので、酷いことにはなっていない。ただし、二輪事業の収益を保ちつつ、四輪事業の利益率を二輪並に引き上げていく必要がある。特に、武漢第3工場の稼働など、中国での生産設備の増強は続いており、中国マーケットへの傾倒をどうするかは課題だ。

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利益増減の要因

 さて、では利益増減の要因に進もう。ここまでの数字が結果の測定だとすれば、その原因を探っていくための作業が、ここからの数字の検証である。

 さて表を見ていこう。左端のグレーの棒グラフが、18年度の税引き前利益実績であり、右端のブルーの棒グラフが19年度実績だ。それぞれ内側に営業利益が別途掲示されている。


税引前利益の増減要因(ホンダ決算説明資料より)

 左から2番目が、売上変動によるマイナスの2200億円。ホンダは「販売台数の減少」が主要因であると説明書きをしている。隣の2つの棒グラフ、「コストダウン効果等」と「販売費及び一般管理費」がプラスに出ているところは好ましい。これはつまり、原価低減がちゃんと進んでおり、かつ販売でインセンティブなどを注ぎ込むことなく、健全なビジネスができていることを示している。

 ただし、ホンダの場合は18年度に、英国、トルコなどの工場撤退に要する退職金などの引当が計上されており、それら一過性の費用は前年、18年度の特別費用であるため、今年度はある意味下駄を履いたプラスになっている。

 為替差損は物づくりをしている限り仕方がない。ホンダは比較的現地生産が進んだメーカーであり、例えばドルでクルマを売った分は、ドルのまま部品仕入れなどの支払いにも当てられる。それでも最終的には一定金額を円に換金して本社に戻す以上、現業の日本企業のポジションは円買いにならざるを得ない。投機として為替を扱っている人たちは、売り買いのどちらのポジションも取れるわけで、現業はポジションが選べない分どうしても不利になる。

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