コロナ禍でも好調ワークマンの意外な死角「在庫問題」――決算から徹底分析:コンビニオーナー“大反乱”の真相(1/4 ページ)
コロナ禍でも好調な数少ないアパレル企業、ワークマン。しかし「在庫問題」という死角も。緻密な決算分析から迫る。
新型コロナによる打撃が著しいアパレル業界。だが、例外的に好調な業績を維持している企業もあるようだ。ワーキングウェア(作業服)などの小売りを手掛けるワークマンが2020年3月期決算で発表したチェーン全店売上高は、前年比31.2%増の1220億円となった。
作業服にとどまらず、アウトドアを中心に若者・女性など一般向けのアパレルへとウイングを伸ばし、コロナ禍でも成長を続ける同社。ただ意外な死角もあるようだ。それが在庫問題である。
一般向け商品の台頭で「在庫問題」が浮上
ワークマンの手掛ける作業服の専門小売り店は、流行がなく定番商品を長く販売できるため、値引きや廃棄もほとんどなく在庫リスクが少ない業態と考えられてきた。プロの職人を対象にもっぱらワーキングウェアを売っていた時は、確かにそうだっただろう。
だが、一般の女性、若者に客層を広げアウトドアやスポーツ、タウンユースの商品売り上げが伸びる中、フェーズが変わってきた。もはや「流行が無い」「売れ残った商品の値引きや廃棄は不要」とも、言い切れなくなってきた。また、加盟店には通常大きな倉庫はなく、売れ残りを抱え続けるのは物理的にも難しい。
客層を広げ商品構成も柔軟に変えながら成長を遂げてきたがゆえに、同社が突き当たっている在庫問題。小売りビジネスであれば避けられぬ本テーマについて、決算データ分析や現場の声から追った。
コロナ禍でも着実に成長
ワークマンの20年3月期決算説明会は5月7日、新型コロナの感染対策でオンラインで開かれた。小濱英之社長は新型コロナ感染症の影響について、「生産拠点の多くは中国だが、春夏ものの生産はほぼ終わっている。今後は生産拠点をASEAN諸国にシフトしリスク分散していく。緊急事態宣言が発せられたことにより、(フランチャイズ)加盟店の要請によって一部店舗で、休業もしくは時短営業を行っている」と説明した。
足元では新型コロナの影響が影を落としているものの、当期純利益は同36.3%増の約133.7億円。決算説明会資料には、既存店年商と1日平均客数の着実な伸びもグラフで載っている(下記参照)。
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