コロナ禍でも好調ワークマンの意外な死角「在庫問題」――決算から徹底分析:コンビニオーナー“大反乱”の真相(3/4 ページ)
コロナ禍でも好調な数少ないアパレル企業、ワークマン。しかし「在庫問題」という死角も。緻密な決算分析から迫る。
「加盟店への商品供給」はなぜ増えた?
――「加盟店向け商品供給」はなぜこれほど増えているのか。とくに第2四半期の伸びは何か。
IR担当幹部: 18年9月にワークマンプラスという新業態をオープンしたところ大変な人気で、防寒ウェアが多くの店で12月には完売してしまい、欠品についてお叱りも受けた。そこで、加盟店から半年前に発注してもらえば発注数を100%加盟店に届けるように切り替えた(従来は納品数を本部が調整)。加盟店さんは強気に発注されたが、その一部が在庫として残ってしまった。経営上問題があるので、全数出荷をやめ本部主導に戻した。
(ここから再び筆者)
加盟店が過剰在庫を抱えていることは、本部も「経営上問題がある」と認識し、適正化を探っていた。返品は受けていないものの、地区ごとに本部が倉庫を借り、加盟店在庫を保管しているケースもあるという。過剰在庫とも関連する「増え続けるアイテム数」についても聞いた。
――PB商品のアイテム数が急増しているが今後も増やし続けるのか。似た商品が増えている印象もあるが。
IR担当幹部: PB商品のアイテム数が増えたのは、顧客がプロの職人から一般の人に広がる中、3ブランド(「フィールドコア」「ファインドアウト」「イージス」)の注目度が高く売り上げも伸びたためだが、その分、扱うNB商品は減っている。PB商品もアイテムがそろってきたので、ご指摘の重複アイテムの改廃も含め、どんどん増やすのではなくNB商品と併せて適正な数にしていきたい。今期(21年3月期)取り組む「4シーズン制」も、店頭アイテム数を抑える施策だ。
――現行の2シーズン(春夏、秋冬)から4シーズン(春、夏、秋、冬)に変えると、「春のシャツ」と「夏のシャツ」のように、アイテム数がさらに増えるのではないか。
IR担当幹部: そうではない。アイテム数は増やさず、「長そでは春先、半そでは夏」と、店頭に展開するアイテムを絞ることでお客様が選びやすい売り場を作り、発注・品出し作業も効率化していく。
(ここから再び筆者)
アパレル業界では長く「2シーズン制」が主流だったが、近年ではしまむら、ユニクロなどの52週MD(マーチャンダイジング、週単位で企画や販促を考える)も目立つ。「4シーズン制」というワークマンの施策はユニークだが、季節ごとに店頭に並べる商品を絞るという狙いは分かりやすい。
小濱社長も決算説明会で「生産管理体制の整備により店舗や物流センターの在庫管理を強化し、会社全体での過剰在庫の抑制と売上の向上に取り組んで参ります」と語っていた。
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