テレワーク普及で企業の「スペース」はどうなる? 変わりゆく“空間の使い方”:アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/3 ページ)
物置きシェアサービスのモノオクは、オフィス縮小ニーズを想定し、法人向けに荷物の保管・撤去サービスを始めた。オフィス縮小などのニーズ拡大が見込まれる一方、“使わないスペース”も増えているという。企業や店舗が持つスペースに、何が起きているのか。
「テレワークでも仕事は回る」企業のニーズに対応
阿部氏は新事業について、「外出自粛期間にテレワークを導入して『(テレワークでも)仕事は回るじゃないか』と気付いた企業、また、新型コロナの影響でコストカットしなければならなくなった企業のニーズがあると考えた」と話す。オフィスの撤退や縮小に伴って発生する、オフィス家具や書類などの保管、処分といった「荷物」の問題をサポートするサービスを5月に始めた。
提供するのは、荷物の配送から一時保管、撤去・処分までを担うワンストップサービスだ。保管場所は、顧客が希望するエリアで、モノオクの登録スペースから探す。配送や処分などは提携事業者と連携して手配する。オフィスを撤去した際の新しい登記場所の相談にも乗るという。一気通貫でサービス提供できるのは、配送業や不動産業、郵便物管理サービスなどを手掛ける多業種の企業と提携しているからだ。
保管料金は1畳当たり月9000円。3坪(約10平方メートル)のスペースに使わない備品などを保管しておくなら、月5万4000円となる。撤去費や配送費は荷物量や移動距離によって変わるが、「配送費は2坪ぐらいまでで1回8000円が目安」(阿部氏)だという。サービス対象エリアは東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県となる。
本格的な事業開始は6月以降となるが、新型コロナによる働き方などの変化を理由とした問い合わせが増えているという。現在は、テレワークに対応しやすいIT企業やスタートアップ企業が中心。オフィスの縮小などには移動や荷物整理が伴うことから、新型コロナが落ち着いた後に動く企業も多そうだ。阿部氏は「今後、提携先の不動産会社からの送客も増えてくるのでは」と見る。
新サービスで「年内に300件を獲得したい」と阿部氏は話す。一方、オフィス縮小や撤退の需要は新型コロナの影響が出る前から増えていたと指摘する。「まずは新型コロナによって拡大した需要にしっかりと対応し、その先も、企業の“荷物”に関するニーズに貢献していく」と意気込む。
一方、個人ユーザーがメインの「モノオク」にも、4月以降、企業や店舗によるスペース登録が増えている。その動きからは、新型コロナの影響で生まれた「新しいスペース活用」の需要が見えるという。
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