テレワーク普及で企業の「スペース」はどうなる? 変わりゆく“空間の使い方”:アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/3 ページ)
物置きシェアサービスのモノオクは、オフィス縮小ニーズを想定し、法人向けに荷物の保管・撤去サービスを始めた。オフィス縮小などのニーズ拡大が見込まれる一方、“使わないスペース”も増えているという。企業や店舗が持つスペースに、何が起きているのか。
新型コロナで急増「使わないスペース」
「新型コロナの影響で使わなくなったスペースを登録するケースが増えている」と阿部氏は説明する。企業や店舗による「使わないスペース」の登録は4月中旬から増え始めた。
その背景には、外出自粛や休業要請によって、営業できなくなった店舗やイベントスペース、使わなくなったオフィスなどの増加がある。店舗の場合、本来の営業には使えないスペースを物置きとして借りてくれる人がいれば、売り上げを補うほどではなくても、少しは収入の足しになる。
例えば、営業していない約30畳のカフェスペースを物置きとして提供しているケースでは、スペースの半分が利用されており、取引額は月9万円だという。他にも、営業できないエステやネイルサロンの経営者などが、休業期間限定で物置きスペースを登録した例もある。
また、イベントスペースや民泊用の部屋などは、今後もすぐには利用を再開できない。使わなくなったオフィスの一部、稼働率が低下した倉庫、借り手が決まらない物件なども含めて、一時的な利用休止にとどまらず、長期間使えないスペースについては、物置きとして貸し出すことも有効活用の一つの方法になっているようだ。
そういった業務用のスペースは、個人宅と比べて広さがあり、立地が良いことも多い。モノオクの新事業の荷物保管サービスを利用する企業にとっても使いやすいスペースになる。「シェアリングエコノミーの仕組みを利用して、助け合っていく」(阿部氏)ことにつながるという。
今後はオフィスなど、企業が持つ空間の在り方が大きく変化するかもしれない。「テレワークが前提の組織づくりをする企業が増えてくる一方、オフィスの数は減るわけではない。スペースをどう活用していくかが社会全体の課題になるのでは」(阿部氏)
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