“アベノマスク”は不要? アパレル大手の夏向けマスクが軒並み好調なワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
新型コロナの影響でアパレルチェーンが苦戦している。一方、各社は相次いでマスクの製造・販売に乗り出している。技術力を背景にした機能性が支持されている。
三陽商会も参入
三陽商会は5月29日、「オリジナル布製マスク」を自社公式オンラインストアで発売し、予定していた1000セット(2枚組)を1時間で完売した。これは、福島市と青森県七戸町の自社工場で生産されており、顔にフィットする立体裁断と、サイズ調節ができるひものアジャスター機能が特徴。
6月中旬には第2弾を発売予定だ。第1弾と同じ縫製で、表地には洋服と同じ多彩な色・柄の生地を、裏地に抗菌ダブルガーゼをそれぞれ使用する。季節の装いを楽しめるファッション性の高いマスクを、今後販売していく。
また、ミズワン(大阪市)、イオングループのコックス(東京都中央区)、ボトムを中心に製造するアパレルアイ(広島県福山市)なども、接触冷感をうたったマスクを企画。いずれも自社ECサイトで販売しており、機能優先で開発しているのが特徴である。今後はファッション性が高まっていくことが期待される。
紳士服メーカーも参入
紳士服メーカーもマスクに続々と進出し、機能性で勝負している。
AOKIでは5月1日から、オンラインショップで「抗菌・洗えるマスク」を販売。これは、3層構造になっており、外層は飛沫防止の撥水加工、中層と内層は抗菌加工が施されている。米国では医療用として使用されている。
米国繊維科学技術・染色技術協会の認可を取得しており、抗菌効果は30回洗濯しても持続する。また、肌にやさしいストレッチジャージ生地を使用し、日本人の顔に合わせた立体縫製となっている。これまでに3回の抽選販売を行っているが、1枚あたり200円ほどと安価なので、支持されている。今後は、夏用マスクの展開も予定している。
青山商事も、抗ウイルス、抗菌、消臭、防汚を兼ね備えた「TioTioプレミアム 洗える立体マスク」を5月27日に発売。同社ECサイトで抽選販売している。「TioTio」はサンワード商会の登録商標で、悪臭や細菌類を破壊分解する抗菌・消臭剤だ。
素材は、表地がニット(ポリエステル95%、ポリウレタン5%)、裏地はポリエステルムース。中央シーム入りの立体的デザインで、耳ひもは調節可能。サイズは3種あり、色は白。価格は590円で1人10枚まで購入できる。抽選は4回実施し、国産と中国製で20万枚ほどを販売する予定だ。
6月4日に公開する後編では、アパレルメーカー以外でマスクに参入する動きをレポートする。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。共著に『図解ICタグビジネスのすべて』(日本能率協会マネジメントセンター)など。
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