ジャッキーは国家安全法支持 安定か混乱か、“ビジネスしやすい”香港はどうなるのか:世界を読み解くニュース・サロン(1/4 ページ)
中国の全人代が香港で国家安全法を制定する方針を決めた。中国政府による支配が強まるとして物議を醸している。ただ、欧米側が反発する一方、ジャッキー・チェンや現地のビジネスリーダーなど賛成する人もいる。それぞれの立場から、日本とも関係が深い香港の今の情勢を解説する。
中国の全国人民代表大会(全人代)は5月28日、香港で国家安全法を制定する方針を決定した。
現時点では、どういう行為が禁止とされるのか明確になっていないが、これから詳細が策定され、9月までに成立することになるという。これにより、中国政府が香港の立法会(議会)を無視して、表現・言論の自由や反体制活動、国外勢力による活動などを制限できるようになる可能性があるとして、大きな物議を醸している。
そもそも1997年に香港が英国から中国に返還されてから、「一国二制度」によって、香港にはその後50年間「高度な自治」が約束されていた。香港国家安全法が制定されれば、その約束が破られることになると、英国など欧米側は反発している。
香港の情勢は東アジアでビジネスをするような日本の企業やビジネスパーソンにも大変な関心事だ。日本と香港は良好な経済関係にあるからだ。
そして今回の騒動には、この連載でも何度か取り上げているジャッキー・チェンがまたまた登場するなど、香港情勢にはあまりなじみのない人々の注目度も高まりつつある。ただ今回のケースは、中国が強権的に香港を押さえつけようとしているという単純な話ではない。いくつかの要因が絡み合っており、ジャッキーのように、反中の香港人たちの言い分に「待った」をかける人も少なくない。そこで一体何が起きているのかを整理したい。
関連記事
- 僕らのヒーローだったジャッキー・チェンが、世界で嫌われまくっている理由
香港アクション映画の象徴的存在、ジャッキー・チェンのイメージダウンが止まらない。隠し子である「娘」の振る舞いや、自伝で語られた「ダメ人間」ぶりなどが欧米やアジアで話題になっている。私たちのヒーローだったジャッキーに何が起きているのか。 - ジャッキー・チェンがビジネス界の「疫病神」といわれてしまう理由
ジャッキー・チェンの言動を巡る批判が止まらない。香港デモに関する「中国寄り」のコメントも炎上した。そんな中、「ジャッキーをプロモーションに起用した企業は業績が悪化する」という都市伝説まで話題に。アンチの多さを物語っている。 - アクセスしたら乗っ取られる? 香港デモ“妨害”の中国サイバー攻撃「巧妙な手口」
「逃亡犯条例」改正案をきっかけとした香港の抗議活動が続いている。デモ隊が使うメッセージングアプリを中国当局がサイバー攻撃したことも判明。こういった中国の手口には、私たちも無関係ではない。国をまたいだデジタル戦に注意しておく必要がある。 - 「シリコンバレーは中国に屈する」 Google元会長のエリック・シュミットが声高に唱える“危機感”
トランプ大統領が中国の脅威を煽っているが、Googleのエリック・シュミット元会長も、AIの分野で中国への危機感を主張する。中国は人権を無視したデータ収集や企業への巨大投資によって、スマートシティ構想を加速。日本も含めて、研究開発を進めないと追い付けなくなる。 - 世界の水源を荒らす、中国の「ペットボトル飲料水」事情
小泉進次郎環境大臣の発言で地球温暖化問題などがあらためて注目されそうだが、「ペットボトル飲料水」の問題も深刻だ。需要拡大に合わせて水をくみ上げる中国企業に、ニュージーランドなどの水源地が反発。できる限り資源を守ることを考える必要がある。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.