コロナで広がる採用格差 「採用弱者」にならないために採用担当者が知るべきコト、やるべきコト:思考停止は大敵(5/5 ページ)
新型コロナでこれまで以上に広がっている採用格差。ウィズコロナ、アフターコロナで「採用弱者」にならないために、採用担当者が知っておくべきこととやるべきことはどんなことなのだろうか? 人事領域に詳しい高橋実氏が解説する。
オンラインネイティブ学生が相手に
いずれワクチンや治療薬が出てきて、ウィズコロナの状況は改善されていくでしょう。少しずつ経済も戻っていくはずです。しかし、世の中は丸ごと元のようには戻らず、大きく変化する方向に動き始めるはずです。アフターコロナを生き抜くためには、こうした「変化する世の中」を見据えて対応できる準備をしていかなければなりません。
来年以降に就活に臨む学生は、学校の全ての授業をオンラインで受講している人も多いはずです。歴史上初めて、本格的にオンライン授業を受けてきた「オンラインネイティブ」世代の学生が就活に臨んでくるのです。学生の適応力はとても高く、企業の人事担当者はオンラインに慣れている学生と対峙しなければならなくなるでしょう。そのための準備を怠ってはいけません。
そしてもう一つ忘れてはいけないのが、「人手不足」の問題です。コロナショックで一時的に採用トレンドは変化していますが、日本の少子高齢化による労働人口不足の課題は解決したわけではありません。数年後に経済が回復してくれば、今まで以上に顕在化する問題になるでしょう。企業は中長期的な人員計画に照らした採用戦略の立案と実行が不可欠になります。
コロナショックは、組織を大きく変えられるチャンスでもあります。アフターコロナにより良い会社となるために、人事担当者は今まで以上に幅広い視点をもって取り組む必要があるでしょう。
著者プロフィール・高橋 実(たかはし みのる)
組織・人事クリエイティブディレクター/マイクロ人事部長
株式会社モザイクワーク 取締役
株式会社ティーブリッジェズカンパニー 代表取締役
法政大学 兼任講師ほか、複数企業の人事責任者として従事。
慶應義塾大学卒業後、株式会社ジェーシービーでインターネット黎明期の新規事業立ち上げに従事、その後NTT、トヨタのクレジットカード事業立ち上げに参画。その後人事に転身し、トヨタファイナンス株式会社、創業100年企業、株式会社HDE(現HENNGE株式会社)で人事部長を歴任したのち、「人事の複業」として複数企業の人事責任者としてハンズオンで企業の組織改革を手掛けている。
新卒、中途、アルバイト採用変革、外国人採用、人事制度改革、女性人材活用、組織改革プランの企画・実行、HR Tech導入、労務実務改革、組織健康戦略、戦略総務(BCP/リスクマネジメント/オフィスファシリティマネジメント)など、企業の中に入ってハンズオンで行っている。セミナー登壇・メディア出演多数。
「高橋実@マイクロ人事部長」としてnoteでも情報発信を行っている
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