コロナ禍でも絶好調のニトリ 2割増益の3〜5月期、2つのポイント:EC事業は4割増(2/2 ページ)
ニトリホールディングスの業績が好調だ。2020年3〜5月期は、純利益が前年同期比25%増。新型コロナの影響で一部店舗の臨時休業も実施したが、在宅需要とEC需要を取り込めたことが好決算につながった。
通販事業は4割増、EC拡大の体制も構築していた
臨時休業などを行い、店舗営業に制限があったにもかかわらず、外出自粛によるニーズ拡大に対応できたのは、ECサイトの役割も大きい。店舗では、積極的にECでの購入を呼び掛けたという。その効果もあり、通販事業は売上高、客数ともに過去最高を更新した。
通販事業の20年3〜5月期の売上高は40.9%増。近年は毎年売上高を伸ばしていたが、今期は特に大幅な成長となった。
EC全体のニーズは外出自粛が呼び掛けられたことで拡大したが、ニトリではそれ以前からECに注力してきた。それも好調の要因だという。19年夏にECサイトをリニューアルし、大量の注文に対応する体制を整えていた。
在宅とECの需要を取り込む傾向は同業他社でも見られる。「無印良品」を展開する良品計画が公表している5月の販売状況では、来店客数が大幅に落ち込んだ一方、オンラインストアの販売は好調だったと説明している。また、生活小物と食品のほか、ホームオフィス需要の関連商品が堅調だったという。それでも、実店舗とオンラインストアを合わせた既存店売上高は、前年同月比約30%減と、大きく落ち込んだ。営業縮小や客数の落ち込みによる影響は大きかったようだ。
3〜5月を大きく落ち込むことなく乗り切ったニトリは、6月も好調を維持。6月度(5月21日〜6月20日)の既存店売上高は前年同月比47.4%増と大幅に伸びた。客数も増加しているほか、前年を割り込む状況が続いていた客単価も回復している。
感染状況が予断を許さない中、拡大した在宅需要は当面、縮小することはなさそうだ。特に、“一時的な在宅勤務”から“テレワーク制度の導入”に切り替えを進める企業も増えており、自宅の仕事環境を整えるニーズの拡大が見込まれる。
ニトリHDは、20年2月期に33期連続の増収増益を達成している。21年2月期も、通期の業績予想は売上高が前期比1.7%増の6532億円、純利益が6.0%増の757億円。未曽有の事態に見舞われた今期も、商品ニーズへの対応やEC連動といった取り組みを続けることで、記録の更新が見えてきそうだ。
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