連載
テレワークで剥がれた“化けの皮” 日本企業は過大な「ツケ」を払うときが来た:働き方の「今」を知る(4/5 ページ)
テレワークで表面化した、マネジメント、紙とハンコ、コミュニケーションなどに関するさまざまな課題。しかしそれは、果たしてテレワークだけが悪いのか? 筆者は日本企業がなおざりにしてきた「ツケ」が顕在化しただけだと喝破する。
さて、ここまでは本連載でもこれまで取り扱ってきた問題である。今回はもう2つ、テレワークで顕在化したかに見えるが、もともと日本企業の問題であったものにメスを入れたい。それは「コミュニケーションがうまくとれない」「オンライン会議では何も決まらない」といった問題だ。これも上記と同様で、テレワークやオンラインだからうまくいかない、ということなどなく、そういう会社は普段からコミュニケーションがうまくとれておらず、何も決まらない会議をしていたということなのだ。
「心理的安全性=ヌルい職場」ではない
今般のコロナ禍以前からテレワークや在宅勤務を実施し、既に定着している会社において、社内コミュニケーションで共通しているものは「心理的安全性」である。この言葉は、単にユルい職場という意味で誤用されていることもあるが、全く異なる。反対に、リスクのある提案や発言であっても、積極的に発信できるし、受け手もそれに対してリスクがあるというだけで反対しない、というようなものが心理的安全性なのである。これを実現するためには……
- 「察してもらう」「気づいてもらう」ことを期待せず、自分から積極的に発信、共有、報告する
- 情報の透明性を保つためにDM(1対1の直接のやりとり)はせず、全てオープンの場で会話する
- 分からないことがあれば遠慮なく、どんどん確認する
- 悪いニュースでも積極的に開示する
といったことが奨励され、全員で共有・実践する文化を定着させることが必要だ。このような状態が常であれば、たとえお互いに顔が見えないオンラインのやりとりであっても、安心して仕事を進めることができるはずだ。大切なことは、オンラインであろうがリアルであろうが同じなのである。
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