モスの定番「モスバーガー」がリニューアル 戦略的に設計された“味”の工夫とは:家で食べることも想定(1/2 ページ)
モスの看板商品である「モスバーガー」がリニューアル。ミートソースを3年ぶりに改良した。持ち帰りニーズの増大に対応した“ある工夫”とは。
モスフードサービスは7月8日、全国のモスバーガーで販売している定番商品「モスバーガー」(税別343円、以下同)のミートソースを3年ぶりにリニューアルすると発表した。7月16日までに順次切り替えていく予定で、価格は変更しない。
看板商品のモスバーガーは1972年の創業以来、累計12億8900万個を販売している。パティ、玉ねぎのみじん切り、ミートソース、輪切りのトマトを使用しており、年間売上の内訳をみても、個数と比率はいずれも常にトップだという。
リニューアルのポイントはソースの具材感を向上させたことだ。玉ねぎを大小2種類のサイズにカットして、調理の際にそれぞれを別のタイミングで鍋に加えることで、食感が残るようにした。また、使用している豚肉のひき具合も工夫している。
ミートソースの隠し味として、液体塩こうじ、煮詰めた酢、にがりを追加することで、“和”のテイストを取り入れた。味に深みやコクを加え、「日本のミートソース」に仕上げたという。
なぜリニューアルをしたのか
モスバーガーの基本設計は創業以来変わっていないが、時代の流行にあわせた味のリニューアルは常に行っている。例えば、ソースの変更は今回で13回目となる。
今回のリニューアルはマーケティング施策とも密接に関係している。チカラを入れているのはテークアウトの強化だ。
モスフードサービスの安藤芳徳氏(執行役員・マーケティング本部長)によると、新型コロナウイルスの影響を最も受けた4〜5月、売り上げに占めるテークアウトやデリバリーの割合は9割弱にまで増加。6月になってイートインの売り上げが回復してきたが、テークアウトの売り上げ自体は減らなかったという。現在、テークアウトの割合は7割程度になっている。そこで、自宅に持ち帰ってから食べても味が落ちないことも見据えたソースを開発した。
コロナ禍で顧客の心理が変化したことにも対応している。安藤氏によると、ファミリー層や新規顧客は「注文で失敗したくない」と考える傾向が強いという。そこで、定番商品であり、多くの人が注文するモスバーガーをブラッシュアップすることで、満足度を高める狙いがある。
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