「髪切った?」はセーフ、「部屋汚いね」はアウト? テレワークで問題の“リモハラ”、なぜ起こり、どう防ぐか:人事部がやるべきこととは(2/4 ページ)
テレワークで新たに生まれてしまったハラスメント、「リモハラ」。ハラスメントへの視線が厳しくなる中でもなぜハラスメントは起こってしまうのか、そして、防ぐためにやるべきこととは? 専門家に聞く。
それでもなぜ、人はハラスメントをするのか?
そもそも、なぜ人はハラスメントをしてしまうのか。ハラスメント対策専門家の倉本祐子氏によると、大きく分けて3つの理由があるようだ。
一つは、「無自覚」だ。「ハラスメントに関する研修に登壇した際、『初めて聞いた』という反応をする受講者も多い。若い世代では、どんな行動がハラスメントに該当するか理解している人も多いが、特に年配の方ではハラスメントという意識がなく、ハラスメントをしてしまっているケースを散見する」と倉本氏は話す。中でも最近は、ハラスメントへの注目が高まることで、あからさまにアウトなケースは減ってきているが、その分グレーゾーンに該当するようなハラスメントが増えてきているという。
もう一つは、「これくらいなら許される」と思ってしまうことだ。ハラスメント的な言動をしてしまう人の中には、ハラスメントかもしれないと自覚しつつも、「自分は愛されキャラだから許されるだろう」と正当化し、ある種確信犯的に行っている人も多いという。「営業成績のいい人などが、『自分は好成績を出しているのだから』と、正当化してしまうことも多い。私自身、過去にそうした理由からパワハラをしてしまった経験があります」(倉本氏)
こうした理由の他にも、ハラスメントが起こってしまう要因として倉本氏は「割れ窓理論」を挙げる。これは、建物の窓が割れているのを放置していると、誰も気にしていないと認識され、その他の窓も割られてしまう、という犯罪学上の理論だ。つまり、軽微なものであってもすぐに対処しないとより重大な事件を引き起こしてしまう、というもの。誰かがハラスメント的言動をしている相手に対しては、周りの人も「この人はああいう応対をしていい人なんだ」と認識してしまい、無限増殖的にハラスメントが生まれてしまうのだという。
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