「髪切った?」はセーフ、「部屋汚いね」はアウト? テレワークで問題の“リモハラ”、なぜ起こり、どう防ぐか:人事部がやるべきこととは(4/4 ページ)
テレワークで新たに生まれてしまったハラスメント、「リモハラ」。ハラスメントへの視線が厳しくなる中でもなぜハラスメントは起こってしまうのか、そして、防ぐためにやるべきこととは? 専門家に聞く。
ハラスメント、どうすれば防げる?
こうしたハラスメントに対して、人事部としてはどういう対応をとっていけばよいのだろうか。
各部署にWeb会議などの方針を任せるのではなく、全社的に運用ルールを設定するのは一つの手だ。例えば、全社でWeb会議用にバーチャル背景用の画像を提供すれば、背景に部屋が映ってしまうことも防げる。また、1対1であってもWeb会議には録画を義務付けたりすることで、不用意な言動に対するけん制にもなるだろう。
その他、業務フローや評価制度を明確化することも重要だ。これまでであれば、成果主義とはいいつつもやはり評価の基本は労働時間や「一生懸命さ」であった企業も多かっただろう。しかし、テレワークによって、労働時間を正確に測ることは難しくなったし、どんな姿で仕事に打ち込んでいるかも見えづらくなった。しっかりと出すべき成果と評価を人事部主導で設計することで、マネジャー層の焦りもなくなり、監視する必要もなくなるだろう。
最後に、マネジャー層にハラスメント研修を受けさせる企業も多いが、それだけでは不十分だと倉本氏は指摘する。「パワハラ防止法が施行されたが、パワハラの定義を巡ってもさまざまな議論が出ている。大事なのは、企業としてどういうスタンスかを明確にすること」(倉本氏)。特に、トップの意思は従業員に伝播(でんぱ)するため、しっかりと「ハラスメントは経営において大きなリスク」だと経営層に意識付けさせることが人事部に求められる。
パワハラという言葉が注目されたため、業務上必要な指示や叱責を軽率にパワハラ視するケースもあるという。マネジャー層だけでなく、経営層や役職についていない層にも、人事部主導でハラスメントに関する理解を浸透させていく必要があるだろう。
関連記事
- リモートワークでも、社員の心の健康を維持するために
リモートワーク期間中、人事部門の中には「コミュニケーションが不足して社員のメンタルが弱ってしまうのではないか不安」と考える人もいるのでは。人はどういうときに病むのか、どういうときに元気を取り戻すのか、社員研修のプロが解説。 - 「上司と部下」からパートナーへ これから求められるマネジャーの姿とは?
新型コロナで巻き起こった急激な変化。コミュニケーションやマネジメントの形にはどういった変化があり、これからマネジャーに求められるものとはどういった要素なのだろうか。コミュニケーションに関するサービス「KAKEAI」を提供するKAKEAI社の本田社長に話を聞いた。 - KDDIの「社内副業」、社員側のメリットは本当にある?――担当者に直撃
KDDIが「社内副業制度」を導入。本業と別の業務に志願できるが別枠の給与がもらえる訳ではない。その真の狙いと意義とは? - なかなか進まぬ「障害者雇用」 在宅勤務がカギになりそうなワケ
18年4月に引き上げられ、21年にもさらなる引き上げが予定されている「障害者法定雇用率」。ただ、実際は達成できている企業がなかなか増えていない。多様性を持つ社会の実現に向けて、どういった打ち手を出していけばいいのか。リクルートオフィスサポートで障害者雇用に取り組み、都市部と地方部の企業と障害のある人をマッチングする事業会社「カラフィス」を設立した三井正義氏は、新型コロナの影響で浸透する「在宅勤務」がカギになると予想している。 - コロナで広がる採用格差 「採用弱者」にならないために採用担当者が知るべきコト、やるべきコト
新型コロナでこれまで以上に広がっている採用格差。ウィズコロナ、アフターコロナで「採用弱者」にならないために、採用担当者が知っておくべきこととやるべきことはどんなことなのだろうか? 人事領域に詳しい高橋実氏が解説する。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.