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なぜ「原価率300%」の料理を出すのか? コロナ後の飲食店に求められる「メニューの会計力」アフターコロナ 仕事はこう変わる(3/5 ページ)

コロナ後の飲食店に求められるのが、メニューを会計的に見直す力「メニューの会計力」だ。この力を高めてコロナ後を乗り切っていくことが必要になる。メニューに会計的視点を取り入れて、「広告宣伝費的な視点」「接待交際費的な視点」「販売促進費的な視点」によって、話題を作り、再来店を促し、回転率を上げて来客を促し、顧客を開拓するのだ。

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顧客を「コントロール」する接待交際費

 メニューを「接待交際費」と捉えることもできる。接待交際費とはどのような費用だろうか。一般的にイメージされるのは「得意先に老舗菓子店の手土産を持参する」などだろう。もちろんただ手土産を持っていくわけではなく、目的がある。

 気の利いた手土産で自社の印象を良くして自社の商品を購入してもらったり、長い付き合いをしてもらったりするためのものだ。一言でいうと「要望を聞いてもらう」ための経費だ。

 何かを渡して要望を聞いてもらう、つまり顧客の行動を売り手の望む形へと誘導し、コントロールする。この考え方をメニューに取り入れ、客を接待し要望を聞いてもらうこともできる。渡すものは何も老舗菓子店のお菓子でなくていい。自社のメニューの料理を渡せば良いのだ。

 筆者は福井県に住んでいるが、福井県の老舗中華レストラングループが毎年面白い取り組みをしている。それは「食事代金の半額を割引券として提供する」という取り組みだ。例えばこのお店で4000円の食事をすると、次回以降利用できる2000円分の割引券をもらえる。この取り組みをしている時期は毎回店が混雑している。


(写真提供:ゲッティイメージズ)

 割引券を渡すことは自社のメニューの料理を渡すのと同義だ。「また来てください」という要望を聞いてもらうためにそれを渡すと考えれば、これも接待交際費といえるだろう。

 この取り組みのポイントは半額にするのではなく、「半額分の割引券を渡す」ことだ。客は2000円分の割引券をもらえたら「2000円得した!」と感じるが、店側は2000円分の料理を提供すればいい。

 前述の原価率35%程度で考えれば、店が提供するのは700円ほどの材料の料理だ。700円で接待交際費的な効果を得られる。費用対効果が非常に高い施策だ。

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