アブラムシにはてんとう虫、ドイツの「生物農薬」事情:生物農薬もネット通販で購入可能(1/4 ページ)
ロックダウンで、園芸用土の売れ行きが増加したのはドイツも同様だ。今回はてんとう虫を例に、ドイツでの生物農薬事情をお伝えする。しかし例え農薬としてであっても、在来でない生物を持ち込むことは、生態系の破壊に繋がりかねない点を忘れてはならない。
ロックダウン中のドイツにて、最も売れ行きに変化が出た商品は、第1位がトイレットペーパー、第2位が園芸用土という。ベルリンを拠点とする自然食品チェーン「BIO COMPANY GmbH」のアニカ・ヴィルケ(Anika Wilke)さんは、「約25パーセント、園芸用土の売れ行きがアップしました」と語る。自宅待機中の人にできることは、世界共通のようだ。しかし、園芸および家庭菜園における野菜育成は天敵、害虫との闘いでもある。そこで今回は、てんとう虫を例に、ドイツでの生物農薬事情をお伝えする。
ドイツでも流行の家庭菜園には、害虫対策が必要
ドイツに住む日本人、永井宏治さんも家庭菜園を趣味とする一人。昨年(2019年)害虫対策に苦労した結果、インターネットで、てんとう虫を買うことを決めた。
永井さん 「昨年の秋、自宅を購入したのですが、害虫が発生しやすい状況でした。おそらく、前の所有者が生物多様性を無視して、偏った植栽をしていたせいでしょうね。アブラムシの大量発生が悩みのタネでした。
薬品を使わないアブラムシ対策は、アブラムシの大量発生を防ぐ植裁手法なども含めていろいろ試しましたが、期待した効果は得られませんでした。
そこで、隣の緑地でてんとう虫を探して庭に放ち、アブラムシを捕食させてみました。ですが、てんとう虫の成虫は、繁殖のためか気まぐれに庭から飛び去ってしまうのです。飛び立つ前の幼虫を見つけようと試みたのですが、成虫より小さいですし、地味な色彩なので、発見は困難でした。
こうした経緯に加え、緑地から虫を持ち出すのもよくないと考え、生物農薬としての益虫販売サイトを利用して、ドイツのてんとう虫の幼虫を買うことにしたのです」
関連記事
- ベルリンの少女が学校閉鎖で役立てたWebサービスとは?
5月初旬にロックダウンが緩和されたドイツでは、州によって学校が再開。ロックダウン中の学校閉鎖は、思春期の多感な少女にどう映ったのか? 同時に学校閉鎖中の学習方法などを、ベルリンで5月20日から再び通学を始めた女学生・カルロッタさんに聞いた。 - ロックダウン緩和で、店頭ライブ再開のベルリン
5月初旬からロックダウン緩和を行っているドイツ。文化芸術の街、ベルリンにあるスーパーマーケットの店頭では、ミュージシャンのライブ演奏が開始された。ライブ演奏開始とロックダウン緩和の関連、買い物客のライブへの反応などをレポートする。 - ベルリン、厳戒ロックダウン下の働き方
3月末から日本よりはるかに厳しいロックダウン環境下にあるドイツ、ベルリン。ベルリン在住の筆者が、フリーランサーへの素早い助成金支給や、テレワークを業務の根本に据えるドイツのスタートアップの職環境について、現状を解説する。 - 西友が「店内植物工場」を開設 収穫したての野菜をそのまま1株137円で販売
西友が「店内植物工場」を開設する。収穫したてのレタスを販売。従来の植物工場と比べて導入コストが低いシステムに注目した。 - イチゴが近づいてくる! 農業を救うかもしれない「自動化」の現場を探る
農業の現場は高齢化や人材不足に陥っている。その解決に役立つと期待される技術が「自動化」だ。イチゴが動くことで収穫の作業負担を軽減する「イチゴ移動栽培装置」、経験がなくても適切な水やりができる「自然給水栽培装置」。この新しい技術を佐賀の現場で体感した。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.