工場の「遠隔監視」も検討 アサヒグループ、リモート中心の働き方に移行:出社人数30〜50%に
アサヒグループホールディングスは8月から、リモートワーク中心の新しい働き方「リモートスタイル」を標準とする体制に移行した。事務・営業職でリモートワークを継続するほか、製造や物流に関わる職種でも遠隔による監視業務の検討を開始する。
アサヒグループホールディングス(HD)は8月3日、リモートワーク中心の新しい働き方「リモートスタイル」を標準とする体制に移行したと発表した。事務・営業職でリモートワークを継続し、出社人数を30〜50%とするほか、製造や物流に関わる職種でも遠隔による監視業務の検討を開始する。新型コロナウイルス感染拡大に伴う変化に対応するため、社内制度の構築を急ぐ。
同社は緊急事態宣言が出される前から、感染拡大防止のため、原則リモートワークとする働き方を取り入れてきた。秋に予定していた転居を伴う人事異動は原則実施しないことも決定している。8月からはリモートスタイルを標準とすることで、さらに柔軟な働き方を可能にする制度設計を進める。
事務・営業職を対象としたリモートスタイルの適用者は、同社と国内グループ会社の約9000人。事務職はリモートワーク勤務を基本とし、必要に応じて出社を併用する。営業職は自宅から営業先までの直行直帰を基本に、出社を併用した働き方となる。出社する場合も、混雑ピーク時間帯を回避した時差出勤を行う。
リモートワークが難しかった、製造や物流に直接的に関わる職種でも、新しい働き方を検討する。オーストラリアのグループ会社で遠隔監視の取り組みが先行していることから、その事例を参考にする。オーストラリアでは、工場でしかできなかった工程管理や稼働状態の監視業務を管理者が自宅で行い、自宅から工場に指示するといった取り組みを実施しているという。
リモートスタイル導入にあたって、今後は社内制度の見直しも進める。印鑑捺印の電子化、社内出張の原則禁止(オンラインを標準化)など、インフラやルールを変更。また、人事制度では、単身赴任の削減、通勤定期券代の支給廃止(実費精算に変更)、福利厚生制度の見直し、産業看護職によるリモート健康相談窓口の設置などを実施する。
新型コロナの影響は長引くことが想定されており、大企業を中心に、働き方を大きく変更する動きが目立つ。飲料メーカーでは、キリンHDも7月、原則在宅勤務を継続する働き方を発表。ペーパーレスの推進や社内出張のオンライン化のほか、既存オフィスの利用目的の明確化、オフィスと自宅以外の勤務場所の導入などを進める方針を掲げている。
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