三ツ矢サイダー、コロナ禍の5月に「販売1割増」の背景:ロングセラーの戦略とは(1/4 ページ)
アサヒ飲料のロングセラー「三ツ矢サイダー」が好調だ。5月のブランド全体の販売数量は前年同月比12%増。その背景には、ブランド強化のための「新商品」「リニューアル」の取り組みがある。ロングセラーブランドならではの戦略とは?
アサヒ飲料のロングセラー商品「三ツ矢サイダー」が好調だ。新型コロナウイルス感染拡大の影響で消費全体が落ち込む中、5月のブランドの販売数量は前年同月比12%増と大きく伸ばしている。
「三ツ矢」ブランドは136年もの歴史を持つ。そんな三ツ矢が今年、販売を伸ばしている背景には、ブランド強化の戦略と「新商品」や「リニューアル」の取り組みがある。ロングセラーブランドならではの“攻めと守りの戦略”について同社に聞いた。
2020年は4.7%増の計画、成長を目指す戦略
同社によると、緊急事態宣言や外出自粛要請で消費が落ち込んだ4月と5月、清涼飲料市場も前年同月と比べてそれぞれ2割ほど縮小した。三ツ矢ブランドの販売も厳しかったものの、4月の販売数量は3%減にとどまり、5月は12%の増加に転じている。
ただ、マーケティング一部 炭酸・果汁グループ グループリーダーの水上典彦氏によると、5月の販売拡大は「計画通り」だという。
近年の炭酸飲料市場は横ばい傾向が続いているが、内訳を見ると、アサヒ飲料の「ウィルキンソン」など無糖炭酸水の市場が拡大しており、三ツ矢が属する有糖炭酸は下降トレンドとなっている。三ツ矢ブランドはその中でも横ばいの販売を維持してきたが、2020年は4.7%増を計画。取り組みを強化して成長を目指す戦略をとっているのだ。
もちろん、想定していなかった新型コロナの影響は大きい。水上氏は「もっと伸ばせたはず」と悔しさをにじませる。それでも、長年の歴史を持つブランドをあらためて発信する取り組みを着実に積み重ねた結果が販売増につながっている。
その取り組みの一つが、「満を持して発売した」(水上氏)という新商品だ。
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