2015年7月27日以前の記事
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吉祥寺でステーキ戦争勃発 「いきなり!」「やっぱり」「ステーキ屋松」の決定的な違いをプロが分析飲食店を科学する(5/7 ページ)

沖縄発の「やっぱりステーキ」が東京・吉祥寺に進出。この地には「いきなり!ステーキ」と「ステーキ屋松」がある。プロが3店舗を分析して分かった決定的な違いとは?

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「ビーフステーキ」の構成比が違うのはなぜか?

 それでは、当社が提供するメニュー分析手法の1つであるPI分析(プライス&アイテム分析)を使って、3店舗の「お得度」を分析していきます。

 まず、次の条件を設定します。

(1)価格は税込価格を基準とする

(2)3店舗ともサラダ(サラダバー)とごはんのセットを付ける

※やっぱりステーキは、サラダ&スープ&ごはん食べ放題

※ステーキ屋松は、サラダ&スープ食べ放題+ごはん1皿

※いきなり!ステーキは、サラダ1皿+ごはん1皿(スープなし)

 それでは、3店舗のメニューカテゴリーとアイテム数を分析していきます。

 総アイテム数については、やっぱりステーキが44品、いきなり!ステーキが47品、ステーキ屋松が50品と、3店舗とも40〜50品程度で大きな違いはありません。しかし、カテゴリー別に見ていくとその構成に大きな違いがあります。

 例えば「ビーフステーキ」というカテゴリーでメニューを見ると、やっぱりステーキが29品、いきなり!ステーキが14品、ステーキ屋松が32品となっており、いきなり!ステーキのアイテム数が最も少ないことが分かります。これは同店の経営戦略に起因しています。運営会社であるペッパーフードサービスが20年7月31日に発表した中期経営計画を確認すると、次のような記述があります。

 「いきなり!ステーキ事業:ステーキレストラン市場の拡大を牽引(けんいん)してきましたが、過剰出店、及び、メニュー施策乱発に伴い店舗収益力が悪化〜省略〜(今後は)メニューの絞り込みを実施し、店舗オペレーションの安定化を目指します」

 「お客さまにより満足して頂けるようメニュー数を増やしましたが、結果としてはオペレーションが煩雑化し、原価率が高止まりしてしまいました」

 同社のペッパーランチ事業売却は、ニュースなどで既にご存じの方も多いと思います。今後、いきなり!ステーキ事業の再建を目指す中で、メニューの絞り込みを進めていることが分かります。

 メニューの種類を増やすと客層の幅を広げることができますが、オペレーションの複雑化を招きます。

 一方、メニューの種類の絞り込みはお客さまの「飽き」につながる可能性が高いため、同店では「トッピング」メニューの充実を図っています。3店舗の中で最も多い9品ものトッピングをメニューで用意しています。

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