まだまだ世界で人気? いまだに「FAX」を使い続けるワケ:世界を読み解くニュース・サロン(2/4 ページ)
新型コロナに関する保健所の対応で注目されたのが、今でもファクスを使っている実態だ。しかし、米国や欧州でもまだまだ現役で使われている。コストやビジネス文化などの理由でファクスが使いやすいという声も根強い。まだしばらく、なくなることはなさそうだ。
4300万台のファクスが世界で活躍中
現在、世界ではいまだにファクスの需要は根強い。今も世界中で4300万台といわれる機器が現役で使われている。米IT系調査会社のIDCによれば、2017年に実施したグローバル企業200社への調査で、43%はファクスの利用が前年よりも増えたとすら答えている。
毎年新たに購入する人たちも多く、その数は年に数百万台規模になるという。国別で見ると、最もファクスを購入しているのは米国で、その後は、日本、ドイツ、フランス、英国と続く。そして年間170億枚の文書がファクスでやりとりされている計算になるらしい。
西宮市の例を出すまでもなく、日本でもまだファクスが多く存在している。総務省が5月に公表した「通信利用動向調査」によれば、日本人の33.1%がファクスを使っている。50代以上でぐっとその数は増え、さらに高収入になればなるほど使用率も高くなっている。
日本でもちょっとググれば、電気量販店やオンラインでも新しいファクス付き電話などが販売されているのが分かる。需要がある印だ。
PCに慣れているビジネスパーソンからすれば、なぜ今更ファクスを使っているのか理解できないという人も少なくないだろう。電子メールでPDFとして送ればいいじゃないか、と。ただ、あまりPCに慣れていない世代の人には、文書をわざわざPDF書類にして保存し、電子メールに添付して送信するというのはかなりの手間である。全くついていけないという人も多いだろう。特に印鑑が必要な書類なら、いちいち元の文書を印刷して、印鑑を押して、さらにスキャンするというのは大変面倒臭い。
最近、新型コロナの影響によるテレワーク普及の妨げになるとして、「はんこ」の文化が話題になった。そして大手企業などは電子サインを導入する動きもあるようで、そうなれば多少の手間は省けるだろうが、やはりファクスで一発で送ってしまおうと考える人がいるのは理解できる。
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