「サクラ」レビューに騙されないために:悪質業者の思う壺(2/4 ページ)
通販サイトには、悪徳業者が跋扈している。彼らは「サクラ」レビューを大量生産するなど、悪知恵の宝庫だ。とはいえ粗悪品を避けるための方法も全くないわけではない。ここではそのヒントを提示したい。
ではどういった観点を持てば悪徳業者にひっ掛からずに粗悪品を避けることができるのだろうか。それにはまず、悪質な出品者の行動原理を知ることから始める必要がある。彼らの行動原理とは「消費者の思考パターン」の裏を掻くことなのだ。どういうことか。
そもそも大抵の消費者は、まず特定の出品毎にレビューの平均点を見て判断しているのではないだろうか。そして気になる商品の中からある程度以上平均点が高いものを選んだ上で、念のためにレビューを幾つか読んで、「ホントに日本人が書いているのか」「ちゃんと買った人が書いているのか」を読み取ろうとするのではないだろうか。
しかしこれが悪質な業者の思う壺なのだ。
第三者レビューを書いて稼ぐ日本人向けアルバイトがあり(昔は中国人が雇われていたが、すぐバレるので、今では現地人採用が主流となっている)、かなり大っぴらに募集されている。彼らは出品者に指示された通りの品を自費で購入し、高い評価をした上で、その品を転売する。そのうえで、その差額損分を補って余りあるレビュー報酬を受け取るのだ(こうしたやり方は中国の特定地区で開発・伝授され、今や洗練の域に達している)。
彼ら・雇われ日本人レビュワーは星(レビュー点)を付けるだけでなく、少し長めのコメントを書かないと満額の報酬はもらえないので、あたかも本当の消費者になった体できちんとコメントを書く。だから「サクラ」と「善意の第三者」のレビューを見分けるのは、実際のところ難しいのだ。ただし特定の傾向を持っていることは分かっている。
一つは「販売されて大して期間が経っていないのに大量のレビューが書かれている」「しかもレビューが短期間に集中している」というもの。いかにも人為的だ。
もう一つは「サクラ」のレビュワーは必ず星は満点の「5」を付けるように指示されている。「サクラ」を雇う出品者としては平均点を上げたいのだから当然だ。一方、低品質の製品であれば、実際に買った人の多くは怒りの低評価を付けているものだ。
だから粗悪品なのに「サクラ」レビューで無理やりに平均点を上げている場合、星の分布が5と1〜2に極端に分離して、3〜4がほとんどないという結果になりやすい。言い換えれば、異常値の「5」を除けば、1または2を中心とした正規分布が見られるのだ。
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