店内は客が少ないのに25年連続増収 西松屋がコロナ禍でも絶好調の理由:「アパレル」「子ども服」「小売業」は三重苦か(4/7 ページ)
コロナ禍でも業績好調の西松屋チェーン。店内は客が少ないのに、なぜ成長を続けられるのか。同社の“非常識経営”に迫る。
(2): ガラガラなのにもうかるのは販売員がムダな作業をしなくてすむから
西松屋では1店舗を2人のパート店員で運営することを基本にしてきました。現在の300坪パターンでも3〜4人でまわしています。正社員の店長は1人で5店舗を掛け持ちで見るという体制です。
実は同社は「生産性が非常に高い企業」なのです。
同社の20年2月期の正社員は696人。パートタイム社員は3993人。この数、16年度からほぼ変わっていないのです。正社員1人当たりの売り上げで見ると2億円です! 前回ご紹介したコストコが1億1000万円ですから、2倍の効率です。ただし、1店舗当たりの売り上げは小さいので店舗スタッフ数も少なく、販売にかかる人件費を抑えることが可能です。
さらに、同社では、一般的な衣料品小売りでやらなければならない作業を極力カットしているので、店舗スタッフの負荷が少ないことでも有名です。
一番は何といっても「過剰な接客をしない」というルールでしょう。お客さまに話しかけて売り上げを増やしなさいというマニュアルもありません。それは売り上げを最大値まで上げることにつながらないかもしれませんが、最低限の売り上げは接客しなくても確保できる仕組みになっているともいえます。しかも店舗スタッフには残業もありません。従って、売り場はできるだけ客自身が商品を選びとれるように工夫されています。
例えば、高い位置の商品を客が自分で取れるよう、先がY字になった「商品取り棒」を設置するなどの工夫で作業を効率化しています。
さらに西松屋では店舗を全国統一のレイアウトにしています。ですから、兵庫県にある本社で売り場を一元管理できます。本社社員が各店舗に直接行かなくとも店内画像を確認するだけで、店内の状態を確認し、売り場変更の指示ができる体制になっています。
また、本部の在庫管理責任者が全店の「値下げ」「商品の店舗間移動」「返品の指示」「棚割り」まで全部決定します。この仕組みによって、各店舗では在庫管理の責任者を置かなくて済むわけですから、結果的に人件費が抑えられ、同時に店舗の質を保つことができるのです。
この売り場管理のシステムによって、全国約1000店舗をわずか数人だけで管理できるようにしている点が、同社のガラガラでももうかる仕組みを支えています。
さらに、同社には有線放送などのBGMやスタンプカード、お客さまリストもありません。設備も最小限で、アフターメンテナンスがかかる部分は極力なくしています。その分を徹底的にコスト削減につなげて、低価格商品開発につなげているのです。
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