「いいちこ」ブランド初の缶入りハイボールが登場 「主要顧客が50代以上」を打破:初のRTD
「いいちこ」ブランド初となる缶入り焼酎ハイボール「いいちこ下町のハイボール」が登場。麦焼酎のいいちこは主要顧客が50代以上だが、若者と潜在層を開拓できるか。
麦焼酎の「いいちこ」を製造する三和酒類(大分県宇佐市)は9月3日、いいちこブランド初となる缶入り焼酎ハイボール「いいちこ下町のハイボール」を9月8日に全国の主要コンビニで先行発売すると発表した。希望小売価格は税別175円。
いいちこは1979年に誕生したが、若い世代からは「知っているけど飲んだことがない」「親世代や祖父母世代が飲んでいるイメージ」といった声が聞かれるようになったという。同社の下田雅彦社長は、いいちこの主要顧客は50代以上だと説明する。若い世代や潜在的な顧客に訴求するには「気軽さ」や「飲みきりサイズ」がポイントになると判断。缶入りハイボールの投入を決めた。
同社は、スッキリとした飲みやすさの実現を目指して新商品を開発した。また、プロが作るハイボールに近づけるため、いいちこと炭酸の割合にこだわるとともに、隠し味にはかぼすスピリッツを使用している。さらに、「プリン体ゼロ」や「糖質ゼロ」といった点も訴求していく。
「RTD市場」が著しく伸びていることも、新商品の開発を後押しした。RTDは「Ready to Drink」の略語で、そのまますぐ飲める缶に入ったチューハイやカクテルなどのアルコール飲料を意味する。サントリーが2020年3月に発表したレポートによると、19年のRTD市場は2億2975万ケース(対前年112%)で、過去最大の市場規模に成長したという(1ケースは250ミリリットル缶×24本換算)。さらに、この市場は20年も2桁成長を続ける見込みだ。
いいちこ下町のハイボールの年間売り上げ目標は1000万本。また、今後、ラインアップを拡充していくという。下田社長は「三和酒類の総力を結集して販売する」と意気込んだ。
同社は20年7月、若者や焼酎初心者をターゲットにしたハイボールのための焼酎「iichiko NEO(いいちこネオ)」を発売している。新規顧客の開拓が課題となっている同社の初の試みはどの程度支持されるだろうか。
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