「会社を買う」はありか:所有と経営(2/3 ページ)
「会社を買う」という言葉をよく見るようになった。「M&A」のマッチングサイトの広告もよく見かけるようになり、ここにきて一気に身近に感じるようになった気がする。 「サラリーマン」が会社を買うのは、大丈夫なのか?
通常、売却額は、純資産プラス経常利益数カ月分で計算することが多いという。個人経営の会社が大きな資本金を積むことは考えにくいので、300万以上の売却希望ということは、赤字ではなく、営業利益が出ていることになる。
マンション投資の場合は、数百万円というわけにはいかないから、1千万円単位の投資になるが、マンションの場合、よほどの悪徳に引っかからない限り、1年で0になることはないし、逆に1年で倍になることもない。
しかし、会社の場合はありうる。今回のコロナ禍での話は例外中の例外としても、1年単位での倍増や破産は少なくない。
会社の所有と経営
会社を買うということと、会社を経営するということは、実はまったく異なる。
会社の所有と経営を分けるというのは、株式会社の考え方で、会社の所有者は、株主といわれ、会社の所有権を表す株式を保有している。出資者と経営者を分離したのは、お金持ちの会社のオーナーが、得意でもない会社の経営をすることなく、お金はなくとも経営能力をもつ本当の経営者に経営してもらい、会社を発展させてほしいからだ。
資金を持っている人が優れた経営者とはかぎらない。所有者と経営者を分けることができれば、経理のプロに経理業務を頼むように、経営が得意な人に経営を任せて、会社の業績を上げてもらうことを狙うわけだ。
本来は、会社の保有者が、適切な経営者に経営をしてもらうというのが、もともとのかたちだろうが、会社を買うというのは、優れた経営をしている経営者とその財産を買い、所有者となるものだから、逆の考え方であるともいえる。
ところが、多くの小規模事業者、あるいはベンチャー企業は、多くの場合、主要株主と経営者は、同じだ。これまでのM&Aのプロが行う分には、ここは百も承知の話なので心配はないだろうが、今回の幅広い事業承継推進の話は、所有と経営の分離という考え方を買う方、売る方が持てるかどうかもひとつのポイントとなりそうだ。
関連記事
- パソナの1200人淡路島移転は「リスキー」だと感じる、3つの理由
人材派遣大手のパソナグループが本社機能を淡路島に移転する計画を発表し、話題になっている。地域活性化やBCPに向けた取り組みだというが、この計画はとてもリスキーなのではないか。その3つの理由とは……。 - カレー店を増やすのは難しいのに、なぜ「100時間カレー」は急増しているのか
「100時間カレー」をご存じだろうか。首都圏を中心に、ここ数年店舗数をどんどん増やしているのだ。カレー店を増やすのは難しいと言われているのに、なぜ急増しているのか。運営しているアークスの専務取締役に、その理由を聞いたところ……。
関連リンク
Copyright (c) INSIGHT NOW! All Rights Reserved.