紙もPDFもまとめてデータ化 Sansanが請求書データ化サービスを始めたワケ:アフターコロナ 仕事はこう変わる(2/2 ページ)
自社だけの工夫では紙の請求書をなくすことはできない。であれば、経理担当者の代わりに請求書を受け取り、まとめて電子化して提供すればいいのではないか。こんな観点から、請求書の電子化を請け負うサービスが複数登場している。
3カ月で数十社が導入
5月のスタートからすでに数十社が導入を決めた。9月には結婚式場の八芳園(東京都港区)が導入を決定。毎月400枚ほど届く請求書を、Bill Oneで一括処理することにした。導入企業の多くは中堅中小企業だ。料金は契約個別に異なるが、基本的なプランでは月間10万円で300件の請求書を処理する。月間100枚以上が、利用の目処だという。
送られてくる請求書は現状、紙が7割、PDFが3割。ただし「コロナの影響で、PDFにガラっと切り替える会社が増えた」(柴野氏)という。
最大の強みは、請求書のデジタル化精度だ。Sansanの名刺のデジタル化で培った手法を使い、99.9%を実現した。「99%では100枚に1枚が間違っていることになる。これでは経理の不安はすごいことになる」と柴野氏。また、デジタル化にかかる時間も、請求書到着後、営業時間内であれば2〜3時間だという。
今後の課題の1つが、他システムとの連携だ。発注書を出し、請求書を受け取り、それを仕訳して会計システムに入れ、支払いを行うというのが一連の流れとなるが、発注書送付システムや会計システムとは現状連携していない。導入企業は、Bill Oneの画面を見ながら、人の手で仕訳しつつ会計システムに入力している。「現時点ではデータ連携はできないが、まずは請求書がデータ化されれば十分だという話が多い。今後、ニーズを見て顧客の使っているシステムにつなげていこうと考えている」(柴野氏)
コロナ禍をきっかけに、紙とハンコの文化が残る業務領域のデジタル化が進んでいる。2023年にはじまる消費税の「適格請求書等保存方式(インボイス制度)」に伴い、「適格請求書(インボイス)」の電子化を標準化する動きも始まっている。いずれ、請求書もデジタルデータでやりとりする時代は来るだろう。
「しかし過渡期については、中小企業が導入するのに金額と工数は見合うのか? 何か一つにフォーマットを統一するのはたいへんだ。そこからこぼれたところをBill Oneでお手伝いできるのではないか」。柴野氏は、まだまだ紙が残っていく中で、紙とデジタルの混在を吸収していくものとして、自社サービスを位置づけた。
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